『ライフ・ウィズ・ミュージック』Siaの奇抜な世界観、希代のミュージック・ムービー!
#映画 #ライフ・ウィズ・ミュージック #Sia
批判を跳ねのける、Sia流アートの世界
本作は、第78回ゴールデングローブ賞の作品賞 (コメディー/ミュージカル部門)にノミネートされた一方で、大変不名誉な賞、ゴールデンラズベリー賞ことラジー賞を最多受賞してしまったことでも話題だ。
しかしラジー賞というのは、ミュージシャンやアイドルが関わった映画は、悪ノリや当てつけのようにノミネートされる傾向もある。つまりは、あまりアテにしてはいけない賞なのだ。
主人公の妹・ミュージックの自閉症の描き方が間違っているという批判も起こった。ミュージック役にキャスティングされたマディが健常者で、同症状を持たないという指摘だ。
だが、これまでにも、障がい者ではない俳優が、障がい者を演じた作品は山ほどある。『レインマン』で、ダスティン・ホフマンがサヴァン症候群の役を演じたように。また、映画作品という観点では、多くのディザスター(自然災害)映画に科学的根拠がないのと同じことで、リアルを追及するばかりが目的ではないはずだ。
これについてSiaは、当初、自閉症を持つ俳優をキャスティングしたものの、本人への負担を考慮して変更したことを明かしている。また、本作のマディ演技を観れば、彼女なりの解釈や表現方法で役にあたっていることを理解できるはず。
なにより、Siaにとって、分身のようにずっと仕事を共にしてきたマディを起用したことは、長編初監督作品というプレッシャーの中、満足いく世界観を表現する上で、心の支えにもなったはずだ。本作を観れば、Siaらしさを引き出すには、信頼関係の強いマディが適任だったと確信できる。
一方で、本作は、アメリカ公開時に同時リリースしたアルバム「ミュージック」のプロモーション的な側面もふまえた映画でもある。Siaの独特な色彩感覚から創り出される、奇抜な世界観や斬新なファッションセンスが好きな人にとっては、Siaの長編MVと思って観ても、存分に楽しめる作品であることは間違いない。
「トゥギャザー」のシーンでは、ゲイリー・マーシャル作品の常連であるヘクター・エリゾンドやメアリー・ケイ・プレイスといった、普段はMVでお目にかかることのできない名優がSiaの想像した世界に飛び込んでくる。この画は、他では、なかなか観れない!!
『ライフ・ウィズ・ミュージック』
2022年2月25日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
【監督・製作・原案・脚本】 Sia
【出演】ケイト・ハドソン(『あの頃ペニー・レインと』)、マディ・ジーグラー(Sia「シャンデリア」MV)、レスリー・オドム・Jr.(ミュージカル「ハミルトン」)
【配給】フラッグ
【公式サイト】https://lifewithmusic.jp/
【公式Twitter】@lifewithmusicjp
【公式Instagram】@lifewithmusicjp #ライフウィズミュージック
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