大人気番組『マグロに賭けた男たち』＆山本さん、テレ朝→テレ東へ電撃移籍の怪

「やいやいやいやーいっ!!」──番組を見た人は、思わずこう叫んだかもしれない。これは、マグロ漁師密着ドキュメント『マグロに賭けた男たち』の名物キャラ「山本さん」こと山本秀勝さんがテンパった時の口癖。これまで同シリーズはテレビ朝日で放送されてきたが、今年突然テレビ東京に“引っ越し”をして、ファンが戸惑っている。

テレビ朝日で放送されてきた『マグロに賭けた男たち』は2000年代半ばに番組がスタート。マグロの名産地である青森・大間のマグロ漁師たちに密着し、年に1～2回、年末年始や番組改編期にスペシャル番組が放送されてきた。番組には個性的な漁師が何人も登場してきたが、圧倒的な人気を誇るのが山本さん。漁師歴50年以上の山本さんは、人間臭いエピソードの宝庫だ。その一部が以下の通り。

・3年間1匹もマグロを釣れず → 久々にマグロをヒットして緊張し、手助けにきた漁師仲間にトドメを刺すよう頼む
・魚群探知機が不調 → バンバン叩いて完全に壊す
・マグロが目の前でジャンプ → エサを投げたら鳥が咥えて飛び去る
・釣り上げたマグロが最後の抵抗 → ヒレで頬をビンタされる
・エサのブリを釣るのは上手 → 大きすぎてマグロのエサにならない
・釣ったマグロに腕を噛まれる
・大物マグロをヒット → 糸を引き上げる巻上機が故障
・自宅はボロボロの町営住宅、家賃は3000円
・マグロを取った日のご褒美はスーパーのパック寿司
・家にはネコが1匹、名前は「ピコ太郎」
・番組のエンディングで登場 → なぜかスナックに入店するシーンで番組終了

　ところが、この人気シリーズを大きな異変が襲った。放送するテレビ局が変わったのだ。シリーズの大ファンのテレビ情報誌記者がいう。

「マグロ漁師密着番組は、テレビ朝日系の『マグロに賭けた男たち』シリーズと、テレビ東京系の『巨大マグロ戦争』シリーズがあり、山本さんに密着してきたのはテレ朝のほう。2020年の大みそかにも特番が放送されるなど、テレ朝きっての人気企画でしたが、2021年は放送がなく、ファンとしては寂しい思いをしていました。ところが1月末、テレ東が『新マグロに賭けた男たち』を放送すると発表。2月7日から9日まで3夜連続で新作が放送されました。テレ東は『巨大マグロ戦争』の新作も1月に放送しており、これでマグロシリーズを2作抱えたことになります」（テレビ情報誌記者）

　番組が放送されると、ネットには「なんでテレ東でやってんだ？」「放送ないなぁとか思ってたらテレ朝からテレ東に移籍かぁーい」「山本さん……テレ東になっててびっくりしたよ」と、困惑のコメントが次々と登場。テレビマンもこれには首をかしげる。

「テレビ局の移動はアニメでは時々あります。その昔、『ドラえもん』は日本テレビからテレビ朝日に移りましたし、『進撃の巨人』は民放からNHKに変わりました。ガンダムシリーズはいろいろな局を転々としていますし、最近だと『シンカリオン』がTBSからテレビ東京に移動しています。ただ、ずっとゴールデンで放送されてきて、大みそか特番までやるような人気番組が他局に移動した例は、聞いたことがありません。

　ただ、番組では『我々が20年間追い続けてきた』という言い方をしていましたし、番組名も“新”を付けただけ。過去の映像もバンバン使っていたので、テレ東はすべての権利を買い取ったということなのでしょう。テレ東の『巨大マグロ戦争』はかれこれ20年近くも続く長寿企画ですが、1月放送回の視聴率は6％台と微妙な数字。今回の『マグロに賭けた男たち』は変則的な時間帯でしたが、今後は両シリーズを合体させて、マンネリ気味のコンテンツをテコ入れしていくのかもしれません」（キー局関係者）

　一番の大物を釣り上げたのは、テレ東だったようだ。

木村之男（芸能記者、TVウォッチャー）

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社～編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら