「地球は生きている」国土地理院が方位磁石の北がズレていることを公表
#国土地理院
日本の真北は、方位磁石が示す北から西側に約0.3度ズレている―。
国土地理院は2月2日、最新の地磁気の地理的分布を表した「磁気図2020.0年値」を公表した。方位磁石の指す北は動き続けています | 国土地理院gsi.go.jp)
国土地理院が公表した2020年1月1日時点の最新情報によると、全国平均では、日本の偏角(真北と方位磁石が示す北のズレ)は、過去5年間で西向きに約0.3 度、過去50 年間で西向きに約1.4度となっている。
国土地理院によると、地球は磁石の性質を持っており、この固有の磁場を地磁気と呼ぶ。地磁気の99%は地球内部を起源とする主磁場で構成されており、数年から数百年の期間で生じる主磁場の変化を地磁気の「永年変化」と呼んでいる。
例えば、伊能忠敬が全国測量を開始した約220年前は、偏角ほぼ0度(地図の北と方位磁石の北が一致)としていた。また、約350年前には、日本周辺の偏角は東へ約8度だったと考えられている。
また、地球の時代を分けるとき、生物の出現や絶滅など地球規模の大きな出来事を示す化石が使われてきたが、最近では地磁気の逆転が起こった時期もあわせて使われている。
20年1月には、今まで名前のなかった約77万4000年前から12万9000年前までの時代が、千葉県市原市田淵で発見された一番新しい地磁気逆転の記録が世界で最もよく残っている地層にちなみ、ラテン語で「千葉の時代」を意味する「チバニアン」と命名された。
ちなみに、日本の地名にちなんだ名前が地質年代につけられ、世界的に認められることは初めてのことだ。
このように、永年変化により地球の極と地磁気の極は一致せず、偏角が発生する。
偏角は地磁気の複雑な空間分布のために、場所や時間によって変わり、このことは地球内部で発生している磁気が、地球規模で複雑に分布していること、磁気が刻々と変化していることによる。
磁北が真北より東側を示す場合を東偏、西側を示す場合を西偏とよび、現在日本では南鳥島(偏角0度程度)を除く全ての地域で西偏となっている。
地図の上で正確な方位を知るためには、偏角が欠かせない。国土地理院の地形図には偏角が記載されており、方位磁石を使って地図を正確に磁北へ合わせることができるようになっている。
また、偏角が発生したとしても、スマートフォンやカーナビなどは、自動的に偏角を使って方位磁石の方位補正を行っているため、電子地図やナビゲーションシステムに大きな問題が出ることはない。
国土地理院は1949年に全国の地磁気測量を開始し、70年以上にわたり日本の地磁気を観測している。この50年間(1970年から2020年)の偏角の変化は、例えば東京では西へ6度20分から7度40分と西へ1度20分ほどズレが大きくなっている。
都道府県庁所在地の50年間の偏角値を見ると、もっとも偏角が大きかったのは沖縄県の那覇市で2.0度、もっとも小さかったのは北海度の札幌市と青森県の青森市の1.0度だった。
偏角の大きい県庁所在地は、那覇市に次いで、佐賀県佐賀市の1.8度、高知県高知市、福岡県福岡市、長崎県長崎市、熊本県熊本市、宮崎県宮崎市、鹿児島県鹿児島市の1.7度となっている。
つまり、偏角のズレが大きかったのは、大分県大分市(1.6度)を除く九州地方に集中していることがわかる。
また、国内で最も偏角が大きかったのは、北海道中頓別町の上頓別で西向きに約11.2度、最も小さかったのは南鳥島の西向きに約0.2度となっている。
まさに、地球は生きているのだ。
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