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「もうオリンピックではなく、中国人民体育大会だ!」

高梨沙羅だけじゃない“謎判定”だらけの北京五輪に韓国がスポンサー引き上げ続出

高梨沙羅だけじゃない謎判定だらけの北京五輪に韓国がスポンサー引き上げ続出の画像1
高梨沙羅(写真/Getty Imagesより)

 女子スキージャンプ・高梨沙羅選手ら4カ国のトッププレイヤーが、ユニフォーム規定違反によって悲運にも失格になった“事件”は、日本だけでなく、世界各地で大きな論争を巻き起こしている。

 今回の北京五輪ではジャンプ以外の競技でも“謎の判定”が続出。多くの選手が失格扱いとなっており、IOCや関連競技団体、また開催国・中国に対する不満・批判は沈静化するどころか益々勢いを増すばかりである。

 失格判定に対して徹底的な抗戦の構えをみせている国のひとつが韓国だ。

 先頃行われた男子ショートトラック1000メートルでは、スター選手である黄大憲、李俊瑞の両選手が失格になった。なお、ふたりが逃した決勝戦ではハンガリーの選手が1位でゴールしたものの、こちらも進路妨害で失格にされてしまっている。最終的に、1位、2位を獲得したのは後続の中国選手ふたりだった。スター選手の活躍の機会を潰された韓国側は激怒。判定を不服として、国際スポーツ仲裁裁判所(CAS)に訴える構えをみせている。

 この応酬にさらに油を注いでいるのが、中国の国営メディアだ。

 新華社が発行する日刊紙「参考消息」は、「国際氷上競技連盟(ISU)は韓国とハンガリーなどの異議申し立てを棄却して主審の判決を確定すると明らかにした」とした上で「敗北を受け入れ、欠点を認める勇気は、選手や観衆が備えるべき徳目だ」と持論を展開。

 さらには「相手を尊重しなければ他人の尊敬を得ることはできない」と追撃。「平常心で勝敗を分けることが、オリンピック精神に沿うことだ」と、今回の相次ぐ“失格騒動”を正当化し、韓国側を煽ることに終始した。

 誤審であるか、はたまた何かしら政治的な意図があるのか―−。

 真実は定かではないが、これだけ不可解な失格が相次ぐとなれば、アスリートの力が及ばぬところで何かしらの力学が働いているとみてまず間違いないだろう。数年間の苦労や活動の成果を奪われるばかりか、応援してくれた人々に責任を感じ落ち込む選手たちの姿は、スポーツにそれほど興味がない人々にとっても見るに耐え難いものである。

 自国スター選手の“失格事件”もあってか、韓国のネチズン(インターネットユーザー)は高梨沙羅選手のケースにも同情的だ。ネット記事やSNSには次のような書き込みが続いた。

「そもそも2センチなんてどう測るんだよ。失格なんて話にならないだろう」
「今回はメダルを取るのだろうと密かに応援していたのに……めちゃくちゃかわいそう」
「もうオリンピックではなく、中国人民体育大会だ!」

 なお韓国誌の記者のひとりは言う。

「今回の失格騒動の余波は相当大きなものになるでしょう。例えば、韓国企業のスポンサードの問題。そもそも北京五輪前から人権問題に敏感な欧米各国からの重圧もあり、公式スポンサーであるサムスンなど大手企業は大金を払いつつも、最低限のマーケティングしか行っていませんでした。そこにかさねて、今回の失格騒動。国内世論が反中国に傾くなかで、大量の広告費を投じてきた大企業も方向転換に苦慮するでしょう。実際、失格判定後に多くの韓国スポンサー企業がマーケティング計画を中断している状況だそうです。実は東京五輪の際も、韓国スポンサーは対日関係の悪化で積極的な広報活動ができなかった。一連の五輪は呪われているという声も聞こえてきます」

 “選手ファースト”の口実のもとで強行された東京五輪だが、失格判定が相次ぐ北京五輪ではその口実すらすでに失われてしまった。五輪は本当に必要なのか。改めて問われそうだ。

河 鐘基(ジャーナリスト)

リサーチャー&記者として、中国やアジア各国の大学教育・就職事情などをメディアで発信。中国有名大学と日本の大学間の新しい留学制度の設置などに業務として取り組む。「ロボティア」「BeautyTech.jp」「Forbes JAPAN」など、多数のメディアで執筆中。著書に「ドローンの衝撃 」(扶桑社新書) 「AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則」 (扶桑社新書)、共著に「ヤバいLINE 日本人が知らない不都合な真実」 (光文社新書)など。

Twitter:@Roboteer_Tokyo

はじょんぎ

最終更新:2022/02/11 11:00
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