『フリースタイルモンスター』前編・梵頭を迎え撃つ輪入道、リスペクトと殺意と男泣き
#ラップ #フリースタイルダンジョン #フリースタイルモンスター
『フリースタイルティーチャー』からの刺客・杉本青空
2人目のチャレンジャーは、お笑いコンビ「からし蓮根」の杉本青空だ。『フリースタイルティーチャー』(テレビ朝日系)で行われた「第一回芸人界最強ラッパー決定トーナメント!」の優勝者である。M-1で見ないと思ったら、こんなところにいたのか……。
「STUDIO COASTラストの貴重な1枠が芸人かよ!」と思わなかったわけでもない。ただ、テレ朝的に言えば地上波の『ティーチャー』が“表”で、Abema配信の『モンスター』が“裏”だったとも言える。青空は、いわば『ダンジョン』後継番組からの刺客だ。
そんな杉本の前に現れたのは、なんとFORK! いきなり、ひどい。思わず、杉本が「ああ、終わったわ……」という表情をしていたのが印象的だった。
青空は確かにうまい。芸人レベルのラップではない。聴き心地もいい。「Yeah」でテンポを整えつつ、軽快なフリースタイルを展開する。そんな新鋭にFORKの韻説教が始まった。
FORK 「まず1つ 韻踏んだ後に自分で『Yeah』って言うな 客のセリフだ
我慢できるか? ただの宴会芸とは違うんだよ」
別に「Yeah」と言ってもいいのだ。言ってるラッパーは結構いる。でもFORKに指摘されると、どうしても青空の「Yeah」が気になってくる。1本目の判定は4-1でFORKの勝利となった。唯一、青空に上げたのはせいこうだ。この“せいこうストップ”が、なんとも懐かしい。2本目、先攻はFORKだ。
FORK 「上手に出来てるよ だけど不格好
求めてんのはそう プロと部活動ぐらいのレベルの差だろ?」
青空 「ここが部活動 でも 俺とお前はここに立ったらフラット」
「部活動」を拾って「フラット」につなげたところは素晴らしい。しかし、バトルは終始FORKが貫禄で圧倒。判定は4-1でFORKに軍配が上がり、このバトルはFORKの勝利となった。
手を抜いているのか仕上がっていないのか、FORKはFORKで微妙な闘いぶりだった。青空も開き直り、あえて「Yeah」を言った後で「お前も何度も『yo』って言うだろ」と指摘していればいい線いってたか? あと、中邑真輔のTシャツを着てきた青空だけに、「Yeah」どころか「イヤァオ!」と叫ぶくらいの開き直りがあってもよかったかもしれない。
8×2の先攻だと調子が出ないDOTAMA
3人目のチャレンジャーは、『ダンジョン』5th seasonレゲエ回以来の登場となるPOWER WAVEだ。レゲエ界のバトルで数々の優勝経験を持つ実力派である。召喚されたモンスターはDOTAMAであった。
先攻はDOTAMAで後攻はPOWER WAVE。「俺の中でPOWER WAVEは『餓狼伝説』ってゲームの技の名前」と相手の名前を突くDOTAMAに、POWER WAVEは「お決まりの波イジリ そらそうか言える事そんぐらい」と返し、さらにこう続けた。
「津波ってのは 第1波よりも第2波の方が危険なもん
マイクで起こすぜ 大災害」
「第1波」とは、前回出た『ダンジョン』の事を指しているのだろう。対するDOTAMAの調子がどうも悪い。かつての勢いがなくなった気がするし、それ以上にMCバトルでのブランクを感じた。あと、揚げ足をとる対話スタイルが得意のDOTAMAは、1度しかアンサーできない8×2の先攻が不向きのよう。このバトルはバイブスで持っていったPOWER WAVEのクリティカル勝ちとなった。
続いてPOWER WAVEを迎え撃ったモンスターは、輪入道。『ダンジョン』でも2人のバトルは実現しており、そのときは輪入道が勝利した。POWER WAVEにとってはリベンジマッチだし、なぜか2人ともGALFYのジャンパーでバトルに臨んでいたのは奇遇だ。
1本目はPOWER WAVEが4-1で先取した。続く2本目のビートは、SIMON JAPの「くそったれFor Life」。2人のスタイルに合わせたDJ CELORYのビートチョイスが良すぎる。順番は、先攻がPOWER WAVEで後攻が輪入道。このラウンドで、輪入道が爆発した。何しろ、第一声がこれだ。
「火は つけるよりも消す方がムズい
それがわかってても つける側に回る」
「火は つけるよりも消す方がムズい」はパンチラインだ。さらに、輪入道はこう締めた。
「負け犬が負け戦で終わりたかねぇな
高嶺の花でもねぇ 突くぜ核心
だから お互い着てるぜGALFY」
「くそったれFor Life」サンプリングから、速攻で入れてきたGALFY踏み。これはエグい……。結果、バトルは輪入道のクリティカル勝ちに終わった。
POWER WAVEもよかった。初戦のDOTAMAをクリティカルで破り、「この勢いで最後まで行くか?」と思ったものの、いかんせん輪入道は強すぎる。もう少し、彼のバトルを見たかった気もする。
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