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東野幸治=原口あきまさ、松本人志=JP “その人らしさ”と代役ラッシュの効能

東野幸治=原口あきまさ、松本人志=JP その人らしさと代役ラッシュの効能の画像1
原口あきまさTwitter(@haraguchiakimas)より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(1月30~2月5日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

原口あきまさ「おはようございます。『ワイドナショー』のお時間でございます」

「私、1時間前までディズニーにいたんで」

 3日の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の冒頭で、ゲスト席の井上咲楽がそう言った。蛍原徹らによると、もともとは別の女性タレントがブッキングされていたらしい。しかし、その出演予定者に熱が出たため、急遽、ついさっきまでディズニーランドにいた井上咲楽が代役として出演することになったのだという。

 新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威をふるうなか、自宅待機を求められ、社会活動が制限されるケースが相次いでいる。テレビで活躍する芸能人もまた例外ではない。誰かが感染したニュースや、濃厚接触者になったとの報告が連日のように流れてくる。そんななか、出られなくなった出演者の代役をたてる番組も見かけるようになった。

 そんな代役ラッシュを象徴するようなシーンが、30日の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で放送されていた。番組は、いつものように“東野幸治”がカメラに向かってあいさつをするところからはじまった。

「おはようございます。『ワイドナショー』のお時間でございます」

 東野のあいさつに、松本人志も「おはようございまーす」と応じる。――が、2人は実際には、東野と松本のモノマネを得意とする芸人の原口あきまさとJPだ。濃厚接触者となった松本はこの日、番組を欠席していた。そのためにとられた、視聴者向けのサプライズである。

 原口とJPは、東野と松本のモノマネでオープニングを続けた。モノマネのまま「なぜJPと原口が松本と東野のモノマネで『ワイドナショー』に出ることになったのか」のいきさつを説明したりもした。東野のマネのまま、原口は言う。

「“白い悪魔”(=東野幸治)がつぶやきだして。『松本さんの代わりがJPくんなら、私の代わりも原口あきまさくんにお願いします』って。それ見た原口くんがゾッとして。家飛び出て車に閉じこもったらしいですよ。ずーっと出てこなかったらしいです」

 モノマネ芸人が、本人のモノマネで、なぜ本人ではなくモノマネ芸人が出ているのかを、モノマネ芸人の視点をまじえて説明する状況。2人のモノマネはオープニングだけで終わってしまったけれど、すべての壁に鏡が貼られた部屋に入ったような面白さがあった。

 にしても、『クセがスゴいネタGP』(フジテレビ系)などで何度か披露されてきた、原口とJPによる『ワイドナショー』モノマネ。原口の東野のマネは以前から高いクオリティを見せつけてきたけれど、JPの松本のマネが『ワイドナショー』モノマネを契機にどんどんクオリティを上げて面白くなっているように見える。

 歌マネとかではなくトークのモノマネだから、やっぱりトークの相手がいることで洗練されてくる面があるのだろう。“その人らしさ”はその人のなかにあるというより、他者との関係性のなかから立ち上がってくる、みたいな話を連想したりする。

 場の設定もあるかもしれない。『ワイドナショー』という設定のなかに置かれることで、より似てくるというか。原口あきまさも『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)の設定で見せる明石家さんまのモノマネは、いつも以上に似ているような印象を受ける。“その人らしさ”は場の設定のなかにも埋めこまれている。

 今後もしばらく続くと思われる代役ラッシュ。急遽放り込まれた関係性や場の設定のなかで、新たな“その人らしさ”が浮き彫りとなり、チャンスをつかむ。そんな人たちも出てくるのかもしれない。

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