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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 『関ジャム』音楽の進化の余地を感じた!

『関ジャム』STUTS、SHOW-GO、和田永に音楽の進化の余地を感じた!

家電を楽器にする和田永のアーティスト活動はSDGsか?

 ISSEY MIYAKEパリコレクションの舞台音楽を11回にわたり担当し、2018年に芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した和田。今回、彼はスタジオで自作楽器を演奏してくれた。使われなくなった昭和の扇風機を改造して作った「扇風琴(せんぷうきん)」の実演である。「家電を楽器に」という発想といい、楽器のネーミングセンスといい、どことなく明和電機っぽさを感じるのは私だけか?

 演奏する姿は、粗大ごみの日と紙一重である。扇風機のプロペラ部分を脇に持ち、そこに光センサーを配したピック(通称「光ピック」)を当てる。すると、ギターのエフェクトのような、それでいてテルミンのような音が高らかに鳴り響いたのだ。明和電機的に言うとオタマトーンに近いか? かなり、カッコいい音色だ。

「電球が(プロペラの後ろ側に)付いてまして、羽根(プロペラ)の代わりに穴の空いた円盤が付いてるんですけど、回ることによって光が点滅します。その光を光ピックが拾い、それをギターアンプにつなぐと光の点滅で音が鳴ったという形になります」(和田)

 電気信号へ変換し、アンプを通してスピーカーから音を鳴らすというプロセスは他の楽器とまったく一緒。だから、扇風琴もれっきとした楽器と言える。ただ、音程をどこで取っているか見ているだけではわからず、その辺りの謎はまだ深い。あと、関東での演奏と関西での演奏では電源の周波数(東側が50Hzで西側は60Hz)が違うため、音が変わるという点にも興味が惹かれた。

 もう1つ、ブラウン管から発生する静電気をコイルピックで拾い、アンプを通して音を鳴らすテレビ型楽器「テレナンデス」のほうも和田は演奏してくれた。画面の縞模様の変化で音色を変える構造らしい。これがまた、いい音だったのだ。“アンダーワールドっぽい音”と表現すればわかりやすいか? それにしても「静電気を拾う」という発想は、完全に変態。いつか画面から発火し、惨事にならないかも見ていて心配になった。

 和田が開発した楽器は、現時点で20種類以上に達しているという。使われなくなった楽器を集め、楽器に作り変えた試みの結果だ。芸術的だし、ある意味SDGs的と言える気もする。

 ギター片手にレジェンドらがロッククラシックの話で盛り上がった前回がウソみたいに、今回の特集は令和だった。現代の音楽には、まだまだ進化の余地がある。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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てらにしじゃじゅーか

最終更新:2022/02/06 20:00
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