伊藤沙莉と尾上松也、『ミスなか』“非常識コンビ”を愛されキャラに変える演技力
#尾上松也 #伊藤沙莉 #ミステリと言う勿れ
マンガでは違和感がなくても、ドラマにすると何かおかしい。そんな映像化の「あるある」を見事クリアしているのが、『ミスなか』大隣警察署の刑事・風呂光聖子(伊藤沙莉)と池本優人(尾上松也)のコンビだ。
視聴率好調な菅田将暉主演のフジテレビ系月曜ドラマ『ミステリと言う勿(なか)れ』でふたりが演じるのは、新人刑事・風呂光と署内のムードメーカー的存在の池本だ。容疑者として知り合った主人公・久能整(くのう・ととのう)の洞察力・観察力に感銘を受けたことをきっかけに、その後も相談事を持ち込んでは事件に巻き込んでいく、いわば「お騒がせバディ」である。
『ミスなか』が描く警察は、はっきり言ってダメダメだ。整を殺人事件の容疑者に仕立て上げるためにベテラン刑事が証拠を捏造・自白を強要したり、池本と風呂光がこともあろうか整に勝手に捜査情報を漏らしてアドバイスを仰ぎたいと言い始めたり。そんな勝手な協力依頼がバレても、上司の青砥(筒井道隆)は「勝手なマネはするな。何かあったらどうする」とたしなめるだけ。
証拠捏造、情報漏洩とユルすぎる警察関係者だが、『ミスなか』はリアリティを求めるタイプのドラマではないのだろう。とはいえ、下手をしたらその非常識さはノイズになる。それを“いい塩梅”に留めているのが、風呂光と池本両名のコミカルな演技なのだ。
風呂光を演じる伊藤沙莉といえば、昨年放送されたドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(同)での独特のナレーションが話題となった。兄はお笑いコンビ「オズワルド」のツッコミ・伊藤俊介。子役として9歳でデビューを果たしてから途切れることなく実績を積み重ねている実力派だ。
また池本役の尾上松也といえば、由緒正しき歌舞伎一家に生まれた役者だ。映像作品では子役として活躍後、2014年頃からテレビ出演を増やし、2020年はTBS日曜劇場『半沢直樹』への出演も話題になった。現在放送中の『まったり!赤胴鈴之助』(テレビ大阪・BSテレビ東京)の赤胴鈴之助役では持ち味の顔芸を披露しているが、同じく池本役でもコロコロ変わる表情がおもしろく、特に原作通りの「舌ぺろ」は再現度が高いと評判である。
子どものころから人前に出て演技力を磨いてきた百戦錬磨のふたりだからこそ、やや雑に感じる設定も違和感を少なく演じられたのだろう。ただし、一部の原作ファンから「積極的に整くんには頼らず、自分自身でがんばって成長していく子だったのに残念」「原作の風呂光さんも池本さんも、整くんに頼ることはあるけど、きちんと子どもとして扱ってるし大人の領分を守ってるんだよな……そういうところが好きなんですけど」と嘆く声もあり、原作未読の視聴者にとっては「知らぬが仏」な話なのかもしれない。
いずれにせよ、現実にはありえない非常識さもひっくるめて「愛されキャラ」として演じきる伊藤と尾上はやっぱりすごい。原作とは少し異なるドラマの風呂光&池本コンビの今後の活躍がますます楽しみだ。
■番組情報
月曜ドラマ『ミステリと言う勿れ』
フジテレビ系毎週月曜21時~
出演:菅田将暉、伊藤沙莉、尾上松也、門脇麦、白石麻衣、鈴木浩介、筒井道隆、遠藤憲一 ほか
音楽:Ken Arai
脚本:相沢友子
プロデュース:草ヶ谷大輔、熊谷理恵(大映テレビ)
演出:松山博昭、品田俊介、相沢秀幸
主題歌:King Gnu 「カメレオン」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作・著作:フジテレビ 第一制作部
公式サイト:fujitv.co.jp/mystery
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