『ゴーストバスターズ/アフターライフ』孫が受け継ぐ中年ポンコツチームのレガシー
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ゴーストバスターズはジュブナイル映画ではないのに!そう思った、その時……
先述のように不安要素の多い続編ではあったが、蓋を開けてみると……これがよくできていた。見知らぬ地に越してきて、疎外感を感じる少女フィービーの物語と、兄トレヴァー(フィン・ウルフハード)の淡い恋物語が交互に描かれている。前半は、少年少女が友人や恋人と出会い成長する、定番のジュブナイル映画を観ていると錯覚しそうになるぐらい、物語の起こりが丁寧に描かれていく。
フィービーとトレヴァーは、『ゴーストバスターズ』に登場するイゴン・スペングラー博士の孫。イゴンが亡くなったことと、母の生活が苦しくなったことで田舎に移住することに。この設定は、問題が起きているのは、ニューヨークなどの大都市だけではない、地方も大変なんだという、現代アメリカの姿を反映しているようでもある。
イゴンが遺したものが散らばる家の中で、祖父を感じながら、少しずつストーリーを手繰り寄せていくフィービーの姿からは、同作のハロルド・ライミスという大切な仲間が2014年に亡くなって以降、続編やリブート企画が常に試行錯誤されてきた過程のメタファーのようにも感じられた。
コメディ要素は薄いかもしれないが、マッケナ・グレイスがお馴染みのつなぎ姿に、プロトンパック(ゴースト捕獲装置)を背負い、ゴースト退治に乗り出す姿は、新たなポップアイコンのようでもある。
ちなみにフィン・ウルフハードは、主演ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン2のハロウィンエピソードで、ゴーストバスターズの仮装をするシーンがあった。念願かなってなのかはわからないが、“本物”の衣装を着ることができたのである。
しかし……『ゴーストバスターズ』は、少年少女たちのジュブナイル映画ではない。所狭しと暴れ回るゴーストたちに中年ポンコツチームが立ち向かう、娯楽性の高いドタバタコメディのはずだ。
筆者がジュブナイルの幻覚から目が覚めて、これはよくできてはいるが、『ゴーストバスターズ』ではないと、そう思い始めた頃、後半から、トーンが一気に変わる。
畳みかけるかのように、次々とあふれ出すゴーストたち。そこにはテラー・ドッグやマシュマロマンといった、見慣れたゴーストたちもいる。
あえて現代的なデザインに置き換えたトゲトゲしいゴーストではなく、80年代当時の映画にあった質感をそのまま活かしたシンプルなデザインのゴーストたちからは、懐かしさを覚えた。
前作を復習しないで観てしまうと迷子になるほどに、小ネタや、セリフの引用がいたるところに散りばめられている。そして、おなじみのテーマソングが流れ出すと、感動さえ覚えてしまう。まさか『ゴーストバスターズ』で感動する日が来るとは、夢にも思っていなかった。
一見すると、ビジュアル的にはオリジナルとは全く違っているはずなのに、なんだかオリジナルメンバーと新世代の彼らが重なって見えてくる。それは、長年止まっていた時間が動き出した瞬間を目撃したかのようでもあった。
『ゴーストバスターズ/アフターライフ』
2022年 2月4日(金)より全国の映画館にて公開
・監督:ジェイソン・ライトマン
・出演:マッケナ・グレイス/ポール・ラッド/フィン・ウルフハード/キャリー・クーン/ローガン・キム/セレステ・オコナー
・配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:https://www.ghostbusters.jp/
Twitter:@Ghostbusters_JP
Instagram:@ghostbusters_jp
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