『ムチャブリ!』に共感の嵐? 令和の働く女性の恋愛観と隠されてきた“本音”
#ムチャブリ #山田真歩
2月2日に第4話が放送される日本テレビ系水曜ドラマ『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』。第2話の世帯平均視聴率は7.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ/以下同)と、初回の8.9%から大きく下がったが、1月26日に放送された第3話では7.9%と少し盛り返しており、視聴者からは第3話の内容について多くの共感の声が上がっていた。
同作の主人公は、30歳の会社員・高橋雛子(高畑充希)。仕事が終わると家でビールにゲームという全力干物女のアラサー女子だが、会社では社長秘書として、カリスマ社長・浅海(松田翔太)のムチャブリに振り回される日々。物語は雛子がある日突然、子会社の社長に抜擢されるところから始まり、一気に押し寄せる仕事や恋の荒波に揉まれて成長していく姿を描く。
コメディタッチでテンポも良く、ポップでライトなお仕事恋愛ドラマといったところだが、特にお仕事にフォーカスした第1話~第2話では、リアル社会ではありえない展開やそんなあっさりとうまくいくわけないといったツッコミどころ満載の内容に視聴者からは不評の声も多かった。だが第3話では、相変わらずビジネス面では甘さがある一方、登場人物のある発言に注目が集まった。
それを発したのは、雛子のもとで働くアラフォー独身の経理・深山和湖(山田真歩)。一見真面目で堅そうだが毒舌で、思ったことはすぐに口にする女性だ。雛子の友人が「結婚しても仕事を続けたい派なら、絶対会社辞めないほうがいい」と話したのに対し、雛子が「今の時代、結婚と仕事の両立は必須ですからね」とさも当然といったふうに同調すると、深山はすかさず「そうか?」と疑義を唱え、「私は両立なんて死んでもしたくない」とバッサリ言い放つ。雛子の後輩女子社員から「和湖さんは仕事か結婚どちらかでいいんですか?」と意図を訊ねられると、「私はどちらもしたくない。だけど働かないと生きていけないから仕事をしている」と説明し、さらに「手に入れると維持するのが大変だ。初めから“持たない”と決めたほうが生きやすい」と持論を展開した。
劇中では、後輩女子社員から全然分からない、などとあっさり言われてしまった深山だったが、この発言に視聴者からは「和湖さん‼︎わかる‼︎」「深山さんの考え方に共感しかない」「わたしもどちらもしたくない~やばい和湖さんめっちゃ共感」などと共感の声が続々と上がっていた。深山は以前も、会社の飲み会の席で同僚が子どもの写真を見せようした際に「他人の子どもの写真ほどどうでもいいものはない」と切り捨てた場面がやはりSNSで共感を呼んでいた。
深山に対してこれほど多くの共感の声が集まるのは、そこに令和の時代に働く女性の“本音”が表れていて、それが表向きにはなかなか言いたくても言えない類の“本音”だったからではないだろうか。
共働きが当たり前の今、仕事も家事も育児も全部要領よくこなし、好きなこともやってポジティブに生きる女性がキラキラと輝く。そんな偶像が女性ファッション誌などにも溢れている。確かにそれができるのなら、素晴らしいし、魅力的だ。そうありたいと奮闘している女性も多いだろう。でも、それを実現するのはたやすいことではなく、その理想のために分刻みのスケジュールで忙殺されるような毎日なんて誰しも送りたくないはず。手に入れたものを維持するために頑張り続けることに疲れている人も、きっと多いのではないだろうか。
さらに第3話では、雛子の「そもそも(恋は)頑張るようなことじゃない」「恋って温泉みたいなもの。湧くところには湧くけど、湧かないところには一生湧かない」といった恋愛観や、浅海の「恋愛って体力が必要」という台詞にも共感が集まり、“人生において恋愛は必須ではない”といった今どきの考え方も見受けられた。
「爽快お仕事エンターテインメント」を謳っている『ムチャブリ!』は、お仕事ドラマとしては粗が目立ち、違和感が多くあるのだが、働く女性の気持ちの部分については共感ポイントが散りばめられているドラマなのかもしれない。なかでも特に痛快な言葉を放ってくれそうな深山に今後注目して観てみるのも面白そうだ。
■番組情報
水曜ドラマ『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』
日本テレビ系毎週水曜22時~
出演:高畑充希、志尊淳、松田翔太、夏帆、優香、笠松将、山田真歩、坪倉由幸ほか
音楽:河野伸
主題歌:ENHYPEN「Always」(ユニバーサルミュージック)
脚本:渡邉真子
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:鈴木亜希乃、柳内久仁子(AX-ON)
演出:猪股隆一、狩山俊輔
制作協力:AX-ON
製作・著作:日本テレビ
公式サイト:ntv.co.jp/muchaburi
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