「科捜研の女」で吉住が見せた片鱗を元芸人が解説 役者でブレイクする芸人とは
#ドラマ #吉住 #檜山豊
※本記事はドラマのネタバレを含みます。
皆さんご存じ「科捜研の女」(テレビ朝日)。説明するまでもなく、沢口靖子さんが主演で、1999年から放送されており、現在放送中の連続シリーズとしては最長寿となっているドラマだ。
そんな国民的ドラマに「女芸人No.1決定戦THE W2020」でチャンピオンになった吉住さんが1月10日に放送された「科捜研の女Season21」第10話にまさかの役どころで出演した。
名前が出始めた芸人なら、大抵インパクトの強いチョイ役か、重要な役の友達といったところで、その回に花を添える役というか、カレーの福神漬けというか、無くても良いけどあったほうが良いといった役どころが多いのだが、彼女はその回に無くてはならない役だったのだ。
彼女の役は「普段は会社員として働き、副業としてサンドイッチ専門店を経営するオーナーの間宮栞」というもの。何とも複雑で、多少無理があるような役に感じるが、なんとこの役……まさかの犯人! つまり第10話で最も重要で、役者さんでもある程度のレベルが無いと、こなす事が出来ないような役なのだ。演技力に定評がある吉住さんだからこそ出来た役だと思うが、視聴者が違和感なくドラマを見られた理由は他にもある。今回はその辺りを元芸人として軽掘りしていく。
ここのところ芸人がドラマに出演することは少なくない。
主演レベルの芸人も多々いる。板尾創路さんや原田泰造さん、そしてドランクドラゴンの塚地武雅さんなどだ。今述べたタイプの芸人は、基本的にその人物自体に色があり、その色に近い役をやることが多い。つまり唯一無二タイプだ。
塚地さんだったら「太ったモテない中年男性で少しコミカルな役」といったところだろう。本人に近い役の為、視聴者は違和感なく見ることが出来る。
一方今回、吉住さんがやった役は唯一無二タイプではなく、平々凡々タイプな役だ。
こういう役は正直知名度がある芸人がやるより、役者さんがやった方が圧倒的に役柄を邪魔しない。何故なら芸人は芸人としてのイメージが強いからだ。
イメージと役があまりにもかけ離れると「〇〇がやってる〇〇という役」に見えてしまい、ドラマに集中出来なかったり、その役だけフィクションに見えるという現象に陥る。そうなってしまうと邪魔以外の何物でもない。
ではなぜ芸人の吉住さんが今回の役を違和感なく演じることが出来たのか。それは吉住さんが知名度のわりに素の部分が見えていない、つまり吉住さん本人のイメージがまだ固定されていないからだ。
昔、同じようにメインゲストとしてオアシズの大久保さんが、天海祐希さん主演の「緊急取調室」(テレビ朝日)に出演したことがあった。大久保さんは「元夫を殺した罪を償おうとして、自首してきた被疑者・伴佐知恵」というシリアスな演技を要求されるという、今回注目している吉住さんと同じような役。
その当時の大久保さんはすでに芸人として自分の位置を確立しており、僕は残念ながら、“番佐知恵という役を演じている大久保さん”に見えてしまった。
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