桝太一アナの日テレ退社が “文系マスコミ”のターニングポイントになる?
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日本テレビの桝太一アナが、3月いっぱいで同局を退社し、4月から同志社大学ハリス理化学研究所の専任研究所員(助教)となることを発表した。「科学を社会に適切に伝える方法」について研究しながら、メイン司会を務める『真相報道バンキシャ!』(同)への出演も続けていく。
東京大学大学院農学生命科学研究科修了後、日本テレビにアナウンサーとして入社した桝アナ。大学院ではアサリの研究をしており、出演番組でもアサリのほか、生物の知識を披露することも多かった。今後は、科学に関する情報や知識をテレビなどのメディアで適切に伝えていく方法について研究するという。
枡アナの決断は、日本のマスコミにとってもターニングポイントとなりそうだ。
「テレビを中心として、日本のマスコミは完全に“文系社会”なんですよね。理系出身のテレビ局員が圧倒的に少なく、科学に関係するニュースや企画の内容が、驚くほどに浅いことも少なくない。たとえば日本出身の研究者が自然科学系のノーベル賞を受賞しても、アナウンサーやキャスターにまったく知識がなく、その研究内容を詳細に伝えることができないケースも多い。そういった研究者にインタビューできる人材もなく、結局何も伝えられていないということばかりですよ」(メディア関係者)
日本のマスコミにおける理系知識の乏しさが、コロナ禍の報道にも様々な影響を与えている。
「ワイドショーなどでは連日感染者数が増えた減ったと報じていますが、ただ数字で煽るばかりで、何も建設的な議論は行われていません。一方、週刊誌などではワクチンの危険性を指摘する記事もありますが、“反ワクチン”側に立つ専門家の意見をそのまま載せて煽るばかりのことも多く、情報が偏ったものになりがち。発信する側に正しい理系の知識やデータを読み解く力がないため、ただただ扇情的なものになってしまうんですよね。桝アナは、そういった状況に危機感を覚えたのでしょう」(同)
理系に疎いマスコミが、詐欺まがいのビジネスを助長させることさえあるという。
「ワイドショーや週刊誌での“健康特集”は、真偽が定かではない情報をベースにしているものがとても多い。いわゆる“エセ科学”というものですね。大学や研究所で専門的に学んでいたわけではない“自称専門家”が登場し、一部の食品が健康によいと喧伝したり、何の根拠もない効果を謳う健康食品や健康グッズ、美容グッズをアピールしたりと、怪しげなものがあたかも素晴らしいものであるかのようにメディアで発信されるんですよ。そういった情報が、健康食品などのマルチ商法の入口になるケースも多く、実は重大な問題をはらんでいるんです」(同)
また、そういった“エセ科学”に加担する専門家ほど、マスコミに登場しやすいという事情もあるようだ。
「研究者の間では、“マスコミは科学に疎いから何を話しても正確に伝わらないし、自分が言ったことを勝手に都合よく解釈して改変される”といった認識が広まっており、メディアへの露出を避ける人も多いようですね。一方で、金儲けなどの別の目的がある“エセ専門家”は、宣伝になるから喜んでメディアに登場する。だから、余計にマスコミに重宝されて、結果的にエセ科学発信が増えるんですよ」(同)
SNSの登場で、誰もが偏った意見を垂れ流すことができるようになり、正確な情報をしっかりと伝えていくメディアの重要性も高まっている。桝アナ1人の力で変えられる問題ではないかも知れないが、桝アナが警鐘を鳴らすことで、科学の重要性が広く伝わっていく可能性も高い。
コロナ禍によって、科学や医学、健康に関する正しい知識がよりいっそう求められるようになっている今、桝アナのチャレンジはとても意義深いものになりそうだ。
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