若者から不人気の消防団員、減少に歯止めかからず1年で1万3000人減の深刻さ
#消防団
60代でも若手…「消防団員の処遇」の向上へ
筆者の地元にも消防団があるが、団員数は10人に満たず、平均年齢は70歳代で、60歳は“若手”と呼ばれている。
一方では、消防団員の減少に対して様々な対策が取られている。消防庁の発表文にも、「女性団員」「機能別団員」の状況が発表されている。
90年に1923人だった女性団員は21年には2万7317人にまで増加した。女性団員のいる消防団の割合も75.9%にまで増加している。だが、消防団員に占める女性団員の割合は3.4%にとどまっている。
14年11月からは「学生消防団活動認証制度」が開始された。同制度は、消防団員として活動した学生に対し、市町村長が「学生消防団活動認証証明書」を交付するもので、証明書は就職活動の自己PRなどで活用できるのが“売り”となっている。しかし、学生団員は頭打ちの状態だ。(表3)
機能別消防団員は、仕事や家族の都合等で全ての活動に参加することが困難な場合に、それぞれの能力やメリットを活かしながら、特定の消防団活動や時間の許す範囲で活動する団員。
その範囲は多岐に渡っており、例えば消防団のOBを対象としたOB団員、防火・防災活動を行う火災予防・広報団員、さらにはバイク隊、水上バイク隊、ドローン隊などもある。年間2000~3000人だが団員の増加が続いている。
つまり、女性団員と機能別消防団員では退団者数を賄えない状態が恒常的に続いているというのが現状だ。
そこで“切り札”として考えられたのが、「消防団員の処遇」の向上だ。
消防団はボランティアのような存在と前述したが、消防団員は「非常勤特別職地方公務員」という準公務員と位置付けられている。このため、その活動については、出動手当、年額報酬などの報酬が支払われている。
出動手当は地方自治体の規模や消防団での階級、出動の種別、出動時間などによって違ってくるが、団体規模別の平均額は政令指定都市の場合、火災活動で出動1回あたり3973円などとなっている。(表4)
消防庁ではこれまでも年額報酬の引上げや活動実態に見合う出動手当の引上げについて市町村に繰り返し要請してきており、年額報酬の平均額は14年度の2万9707円から21年度には3万1072円まで増額された。
報酬を支給しない「無報酬団体」は15年度に解消したほか、報酬が1万円未満の市町村も、21年度現在で2団体まで減少した。
さらに、20年4月に、消防団員への報酬は年額報酬と出動報酬の2種類とし、年額報酬は「団員」階級の者については 3万6500 円、出動報酬は災害時1日当たり8000円を標準額とすることなどを21年4月1日からの適用に向け条例改正等に取り組むよう市町村に要請している。
近年、火災だけではなく、自然災害が増加していることで、消防団の出動回数も増加し、その必要性は益々高まっている。果たして、報酬の増額が実現し、消防団員は増加に転じるのだろうか。
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