『不可避研究中』独身貴族・稲垣吾郎が伝える「結婚した方がいい?」へのメッセージ
#NHK #稲垣吾郎 #不可避研究中
事実婚カップルに「結婚してほしい」と力説
最後に登場したのは、“彼女なし”“男子校出身”をプロフィールにする26歳の男性ディレクターだった。彼は「結婚こそ最高の幸せ」と信じるタイプで、「1分後にでも結婚したい」と豪語するゴリゴリの結婚推進派だ。
彼が制作したVTRのテーマは、「結婚しない人に斬り込みに行く」。結婚を選ばない人に「なぜ結婚しない?」とその理由を聞く旅に出るというのだ。テーマはアレだが、意義のあるVTRになる気がする。人それぞれ、結婚にどんな考えを持っているのかは知りたいところだから。
ただ、彼の向かった先が良くなかった。インタビューイはNHKの先輩カップルで、同棲中の男女だった。婚約をもう済ませたが、夫婦別姓を希望して結婚はしていないという状況のようだ。そんな先輩カップルにこのディレクターは思いをぶつけた。
「(2人は)絶対、結婚した方がいいなと思ったんですよね。だから、結婚してほしいなと思ったんです」(ディレクター)
いや、2人はもう結婚したようなものなのだけど……。この番組は、婚姻届を出した=結婚と定義している? 事実婚を選択した夫婦に対して「結婚してほしい」は、さすがに失礼だと思う。
そもそも、このディレクターの結婚へのこだわりが不可解だ。なぜ、「1分後にでも結婚したい」なんて口にできるのか? 実は彼、1歳の頃に母を亡くしており、母親の記憶がまったくないそうだ。以来、父親が彼を育ててくれたものの、本人はずっと孤独を抱えていたという。
「どうしても、僕は結婚がしたい!」(ディレクター)
それって、妻や恋人に母を求めているだけなんじゃ……。結婚相手が災難だし、結婚しても幸せになれないパターンに思える。
このディレクターが最後に話を聞きに行ったのは、現在59歳になる彼の実のお父さん。父は妻に先立たれて今年で24年だそうだ。
ディレクター 「お父さん、結婚って何なの?」
父 「(相手が)病気で亡くなることもあるし、交通事故だってあるし、いつ何が起こるかわからない。でも、そこまで生きてる間にどう愛せるか……っていう風には思うけどね」
VTRの制作途中で、このディレクターは結婚観が変わったそうだ。
「これまでは自分を孤独から救ってくれるものが結婚と思っていて、正直言うと『救ってくれるなら誰でもいい』みたいなところがあったんです。でも、最愛の人と過ごすのが1番大切なんだなと思って」(ディレクター)
とどのつまり、「幸せになるための結婚」ではなく、一緒にいたいと思える人がいたから結婚……という順序が正しい形ということだ。逆に言えば、そういう人がいないのなら結婚しなくたっていいのかもしれない。そういえば、稲垣と同じ“独身貴族”の中居正広には「この人と一緒なら不幸でも構わないと思える人と結婚したい」という語録がある。
テーマがテーマだっただけに「制度」にスポットを当てる内容になるかと思っていたが、結婚を含めた「生き方」に光を当てる作りとなった今回の放送。結婚について積極的に否定も肯定もしない着地点だった。
余談だが、『不可避研究中』の放送が終わった直後、恋愛関係にはなく同居をする、アロマンティック・アセクシュアルの男女を描くドラマ『恋せぬふたり』の再放送が始まったのは狙っていたとしか思えない。ライフスタイルの多様性を提示することで「無理して結婚しなくてもいいんですよ」とメッセージを投げていた気がする。
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