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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 『ゴシップ』10万PVのトホホとリアル
ネットニュース編集者・中川淳一郎が総ツッコミレビュー!#2

『ゴシップ』3話、文春超えスクープ記事が「空前絶後の10万PV!」のトホホとリアル

生き馬の目を抜く!? ネットニュース界隈、リアルなら多分こう

 そして、AOIの素顔を暴いた記事が10万PVと過去最高を叩き出したというが、ここの数字こそ今回の最大のツッコミポイントである。もともと石井杏奈演じる新人・真琴が担当したコタツ記事が約600PVだった描写が第2回ではあった。仮に50万PVを稼ぐにはこの記事が833本必要となる。となれば、1日に28本の記事が必要になるわけで、いくらライターを雇ったとしても、かなりキツい数字である。

 今回の10万PVの記事というものは、カンフルNEWSにとっては空前絶後の数字だったものの、5000万PV達成のためにはほぼ役に立たない数字である。いくら弱小サイトとはいえ、さすがに大手出版社なだけにグーグル的な検索サイトのニュースとも契約しているだろうし、Yahoo!的な巨大ポータル、さらにはLINEニュース的な場所にも配信されていることだろう。そう考えた場合には、このように言った方がリアリティがあったかと思う。

「椛谷さんの記事、すごいですよ! カンフルNEWS本体では200万PV、配信先では全体で1500万PV、さらに200万の内、SNSから流入が42万でした! 記事自体のリツイート数は1万2000です!」

 とんでもなく人気のある「覆面JKシンガーAOI」の正体が明かされたわけだから、多分、このぐらいは行くと思う。しかも、この記事のすごいところは、「文春オンライン」的な業界のリーダー「東西オンライン」が出した「AOIの姿を公開!」というスクープ(というか、レコード会社のプロモーション)をさらに進化させたものなため、完全に「カンフルNEWS vs 東西オンライン」という構図にもできたのだ。そうしたら東西オンラインをガセ扱いできたため、椛谷はあの記事一発では満足せず、2の矢、3の矢を出し続けてもよかったはずだ。生き馬の目を抜くネットニュース界隈の激しいバチバチのやり取りや抜け駆けが描かれていなかったのが惜しい!

 そして、今回もやはりタイトルにツッコミを入れたい。椛谷のつけたタイトルはコレ。

<覆面JKシンガーAOIの正体はMIZAC!>

 これについては「MIZAC」という言葉が弱い。何しろ過去の一発屋なわけで、AOIのファンである若者はこの人物が誰だか分からない。もしもMIZACが米津玄師やGACKT並の著名人だったらこれでいいけど。あと、最後の「!」はいらない。途端に素人臭がしてしまうのである。だったら何がいいか。

<AOIの中の人は元一発屋の「おっさん」だった>

 MIZAC自身、自分のことを「おっさん」と自虐的に言ってるわけだからこの言葉は失礼ではない。「元一発屋」の一言は「一体誰だ?」となるため、大事である。少なくとも「元一発屋」の方が「MIZAC」より強い。

 さて、ストーリーは、さまざまな葛藤を抱えた登場人物が今後前向きに仕事をし、最後はカンフルNEWSが大躍進を遂げる、ということになるニオイがしてきた。次回は野村周平演じる下馬が活躍する回になるだろう。ツッコミは入れまくったものの、話が面白いのは間違いない。

<過去回>
黒木華ドラマ『ゴシップ』2話、あんな編集者は「ありえねぇ~」けど細部はよくできてる!?

中川 淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)

1973年立川市出身。1997年博報堂入社、2001年無職になりフリーライターになり、雑誌『テレビブロス』のフリー編集者に同年末になる。2006年からネットニュースの仕事を開始。毎月800本ほどの記事を編集する人生に疲れ、2020年8月31日にセミリタイアし、佐賀県唐津市へ。著書は『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『炎上するバカさせるバカ 負のネット炎上史』(小学館新書)等。

Twitter:@unkotaberuno

なかがわじゅんいちろう

最終更新:2022/02/24 18:06
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