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渋谷の名店「麗郷」で使える裏技! メニューにないバキバキかた焼きそば

「かた」やきそばを注文する方法とは?

渋谷の名店「麗郷」で使える裏技! メニューにないバキバキかた焼きそばの画像4

 麺類の部には、湯麺(タンメン)の次に焼きそばのラインナップがある。が、見てもらえればわかる通り、いわゆる「あんかけ焼きそば」が数種類。かた焼きそばは、ない。そこはもちろん承知の上、毅然たる態度で「什景炒麺(五目入りやきそば)」をオーダーしよう。

 ただ、このままだと、至極当たり前だが、ただの五目入りやきそばが配膳されてしまう。

 私はかた焼きそばは好きだが、実はあんかけ焼きそばはあまり好みではない。あんかけのトロみと揚げ麺のパリパリが織りなすコントラストこそが、私の心をつかんで離さない最大の魅力なのだ。そして、料理をオーダーしたこの瞬間が、裏技を発動できる唯一のタイミングなのだ。

「麺、揚げてもらえますか?」

 この一言である。

 序盤にもお伝えしたが、この裏技を実践できる店は限られており、麗郷でも混雑時や店員によっては伝わらない場合もある。オーダーするときはしかるべき状況判断が必要なので、注意していただきたい。

 ちなみに、この裏技の利点がもうひとつある。

 通常のメニューではない、イレギュラーなオーダーゆえに、限りなく100%に近い確率で揚げたての麺が提供されるという寸法だ。

 保存状態の良くない作り置きの揚げ麺を提供している店舗が多数ある中、この確定演出は文字通りアツい。

渋谷の名店「麗郷」で使える裏技! メニューにないバキバキかた焼きそばの画像5

 そして配膳されたのは、まごうことなき五目入り「かた」やきそば。迷ったときはベーシックなものに限る。 揚げ麺に関しては調理の手間が一行程増える分、料金が上乗せされる店舗もあるが、ここ麗郷ではお値段据え置きの良心設定。

 具材のラインナップは「五目」と名乗っているものの、野菜4目(白菜、青菜、キクラゲ、タケノコ)+肉2目(豚レバー、ハム)+海鮮2目(エビ、あさり)=8目編成。それぞれの、旨味の個性が手を取り合って、あんかけのグルーヴを身にまとう。そして、小麦色の肌のごとく揚げたてピカピカの麺は太く固く、非常に食べごたえ良き晴れ姿。まるで90年代の某航空会社コマーシャルに出てきそうな、太陽に照らされた豪華絢爛なかた焼きそばといえよう。

 とはいえ、熱々かつ固々な状態なので、攻略するには難易度がやや高いかもしれない。でも、それもかた焼きそばの魅力のひとつだと私は思う。美味しくいただきつつ、いかに最後まで心地よく食べきることができるか。滞りなく完食できた日には感激もひとしお、2倍の喜びだ。

渋谷の名店「麗郷」で使える裏技! メニューにないバキバキかた焼きそばの画像6

 渋谷の裏路地の、メニューにないかた焼きそば。知らなければ出会うことのない、隠れキャラクターのような存在。

 あの頃と変わらない気持ちで、どこか誇らしげに咀嚼している自分がいた。

〈INFO〉
麗郷 渋谷店
住所:東京都渋谷区道玄坂2-25-18
営業時間:[月~金]12:00~14:00、17:00~24:00(L.O.23:00)
     [土・日・祝]12:00~24:00(L.O.23:00)
定休日:無休(お盆休み、年末年始休みあり)

〈連載「かた焼きそばのフィロソフィー」の過去回〉
第1回:「海老天ベンツも潜む圧倒的な情報量の“揚げ日本そば”スタイル」

第2回:「中野坂上にも“夢と魔法の王国”があった! 豚レバーとピリ辛餡が刺激的な『ミッキー』のかた焼きそば」
第3回:「椎茸・ザ ・ボンバーの一点突破! “映え”だけじゃない極端かた焼きそばの滋味と享楽」
第4回:「インド、アメリカ、中国が同盟を結んだ! フォークで食べる常識破りのジャンクかた焼きそば」
第5回:「創業90年の町中華で味わう極上“アンビエント”かた焼きそばの宇宙と無常観」
第6回:「まるでかた焼きそばのサラダ! 立川で100年以上続く福来軒の懐かしくて新しい逸品」
第7回:「エキゾチックなタイ版かた焼きそば“あんかけのスコール”で微笑みがあふれ出す!」
第8回:「“かた焼きそば名門校”出身の料理人による天衣無縫のあんかけと病みつき揚げ麺」
第9回:「羽生善治九段の勝利にも貢献した“将棋めし”聖地が『かた焼き祭り』を開催!」
第10回:「人生につまずいたときに優しく迎えてくれる中目黒の王道かた焼きそば」
第11回:「ベトナムと日本をつなぐ『あんかけ揚げめんフォー』のワンダーランド」
第12回:「水木しげるが傑作マンガ誕生の糧にした湯桶サイズの『揚げかたやきそば』」

MARUOSA(ミュージシャン)

1980年、大阪生まれ、東京在住。エクストリーム・ミュージシャンとして、これまでに20カ国以上でライブを行い、世界3大メディア・アート・フェスのひとつ「ソナー」(スペイン)、約28万人も訪れる欧州最大級の「ロスキレ・フェススティバル」(デンマーク)、世界最大の音楽見本市「SXSW」(アメリカ)などに出演。かた焼きそば研究家としてテレビ・ラジオ出演やコラム執筆といった活動も行う。

Twitter:@maruosa

Instagram:@maruosa

【maruosa.com】

まるおさ

最終更新:2022/01/21 12:00
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