メスガキ映画の最高傑作!?『サイコ・ゴアマン』コメディとグロと東映の融合
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ほのぼのコメディと激グロゴア表現が融合!
『サイコ・ゴアマン』に登場する男性は一様に弱弱しくて情けない。ミミとルークの父親グレッグは靴工場で働いていたが、倒産し(サイコ・ゴアマンがいた廃工場がそれ)今は無職で日がなテレビばかり見ているダメ親父。薬局で働く妻スーザンの収入に頼り切りで家のことは何もできない。たまに家族の食事をつくるけどロクなものは作れないし、調理器具の掃除もやらない。妻に「あんたはただの怠け者よ」と小言を言われると「俺は一家の主だぞ。なんだと思ってんだ」とトイレに籠って壁を相手にしか言い返せない(情けないにも程がある)。
ミミを始めとする女性陣は常に強気。テンプル騎士団のリーダー格である女戦士パンドラがサイコ・ゴアマンを始末するために地球にやってくる。パンドラはスーザンを懐柔しサイコ・ゴアマンの引き渡しを求め、普段からわけのわからない化け物が不快だったスーザンはパンドラ側につく。
するとミミは「あの女弱そうよ。ルーク、あんたが戦ってる間、私たちは逃げるわ」と兄貴を平気で犠牲にしようとする。サイコ・ゴアマンがパンドラは強いから一瞬でやられるぞと忠告しても「黙って戦ってヒーローになりなさい」とルークを小突く。いくらなんでも酷過ぎる……。
ついにルークもついていけずにパンドラ・スーザン側に下り、父グレッグは「俺は怠け者じゃない」とミミたちを連れて逃亡。事ここに至り男性陣は自分の意思を初めて示すのだが、来るべき最終決戦ではやはり何の役にも立たないのだった……。
こういった緩めのコメディ描写ながら、80年代スプラッター、ホラー好きを隠さないコスタンスキ監督は気持ちよく首をすっ飛ばし、手足を捥いで背骨を引き抜き、血糊をぶちまけ、臓物を飛ばしまくり、人体を破壊する。ローティーンの頃にテレビの映画番組でそういった作品を見てしまった監督はすっかりやられてしまい、その時の興奮を今の子供たちにも味合わせたいんだ!と、低予算ながらゴア描写には一切手を抜いていない。
監督は90年代に日本の東映がビデオ作品で送り出した特撮ヒーローシリーズにもハマっており、従来の変身ヒーロー作品とは異なる路線で展開した『真・仮面ライダー 序章』や『人造人間ハカイダー』辺りの影響を受けたのがありありとわかる。
サイコ・ゴアマンのかつての仲間たちが彼を抹殺するためにやってくるのだが、皺苦茶老人ダークスクリーム、死体満載酸性風呂デストラッパー、肩に翼を乗せた全身金属サイボーグ剣士カシアス3000、全身ウジ虫状態死霊魔術師クイーンオベリスク、干し首を操る極東特撮システム出身出目金ウィッチマスター(多分日本の配給会社が創作したネーミングだと思われる)と、名前もデザインも特撮ヒーローものの悪役クリーチャーのような懐かしさを感じる。
サイコ・ゴアマンはダークヒーローなのでトドメは自分の腹を開いて相手を丸ごと食らい尽くす。仮面ライダーみたいにライダーキックで仕留めはしない。食うか食われるかの戦い!
東映もかつては大人向けの特撮シリーズを本編とは別に作っていた(最近でも『仮面ライダーアマゾンズ』とかあるけど)んだから、『サイコ・ゴアマン』に負けじとゴア描写に挑んで欲しいな。子供に衝撃を与えて大人になってからスプラッターヒーローを作っちゃうぐらいに!
サイコ・ゴアマンの略称はPGで、PGとは映画のレイティングを表す 「Parental Guidance」 (~未満の子供には保護者の指導が必要)のことでもある。本作のレイティングはPG-12。
全国の保護者のみなさん!ぜひお子様にサイコ・ゴアマンを見せてその後の人生を狂わせてあげてください。お子様にメスガキ趣味が芽生えても特に問題はないから大丈夫!
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