メスガキ映画の最高傑作!?『サイコ・ゴアマン』コメディとグロと東映の融合
#U-NEXT
創作上の物語で女児が年上に大して生意気な言動を取ることを最近では「メスガキ」というが、メスガキ映画の最高傑作がU-NEXTで配信開始された『サイコ・ゴアマン』だ。
カナダの天才歌劇映像制作集団「アストロン6」のメンバー、特殊造形作家のスティーヴン・コスタンスキが手掛けた本作は、監督が大好きな80年代のゴア、スプラッター、クリーチャー、SFといったジャンルをごった煮にした究極の一本。
はるか彼方の宇宙では破壊と殺戮を好む「悪夢の大公」と呼ばれる怪物が暴れまわっていた。宇宙の秩序を守るテンプル騎士団は、もてる力を総結集し「悪夢の大公」を捕らえ宇宙の果てに放逐した。
その頃、はるか彼方の地球では二人の兄妹がカナダでもっとも有名なスポーツ(という設定)の“クレイジーボール”で遊んでいた。勝負に勝った妹のミミ(ニタ=ジョゼ・ハンナ)は、兄のルーク(オーウェン・マイヤー)に罰ゲームと称して庭に穴を掘らせることに。ルークは地面に埋められた棺のような物体を掘り出し、ミミは埋め込まれていた宝石を抜き取る。穴を埋め直したのだが翌朝、巨大な穴が開き、棺は消えていた……。
実はその棺には「悪夢の大公」が封印されており、ミミによって封印を解かれた「悪夢の大公」は、廃工場に屯していたチンピラをすさまじい力で抹殺。姿を見られたミミとルークも殺そうとするが、ミミが手にした宝石は「悪夢の大公」をコントロールできるアイテムだった。なんでも言うことを聞かせられ、気に入らない相手は抹殺(!)することもできる無敵の怪物を手に入れたミミは「最高の友達ができたわ!みんなに見せびらかそう!」と大喜び。ルークは「そんなのよくないよ」と妹を窘めるのだが、いつもミミにやりこめられている気弱な兄のいうことなんか聞く耳を持たない。
怪物にサイコ・ゴアマンと名付けたミミは早速街に繰り出し、サ暴虐の限りを尽くさせる(コントロールできる範囲で)。気に入らない奴は叩きのめし、仲の良い友達が遊んでくれないのに腹を立て、脳みそだけの化け物に変えてしまう(友達にすることじゃない)。出動してきた警官を生きたままゾンビのような姿に変えてしまい、兄のルークを脅しつける。
ミミを演じたニタ=ジョゼ・ハンナは邪悪としかいいようのない微笑みを浮かべて残酷に振る舞い「秩序なんて知らない、やりたい様にやるのよ!」とホラーとしか思えないが、この映画はコメディなので制御不能のメスガキであるミミがどんどん魅力的なヒロインに見えてくるから始末が悪い。
かつては「悪夢の大公」と呼ばれたサイコ・ゴアマンはメスガキに良いようにされるのが我慢できず、ルークの夢に入り込み「おいミミの兄、やりたい放題されていていいのか?宝石を奪えばミミにわからせてやれるぞ」とけしかけるのだがヘナチョコなルークは決断できない。
「でも妹だし…って、僕の名前はルークだよ…いい加減覚えてよ」
妹にもサイコ・ゴアマンにも「おまけ」扱いされるルーク、悲しすぎ。
メスガキものというジャンルには「こんなに小生意気な娘に逆らえず、言いたい放題されるのって悔しい、でもなんか楽しいなー」という特殊性癖が潜んでいるので、兄のルークもミミに逆らえない立場が嬉しいようにも見える。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事