『家、ついて行ってイイですか？』、21時台に堂々展開される薄毛と“2発目”の話

　1月12日の『家、ついて行ってイイですか？』（テレビ東京系）は、題して「試練乗り越え……人生歩む人たちSP」であった。

ところで、この回の2日前となる10日に放送された『家つい』スピンオフの特別編『家ついて行ってイイですか？ とある文化（カルチャー）に救われた人たちSP』が、かなり面白かった。23時6分～という放送時間帯にふさわしく、人選は大人仕様に。出前の配達員を家に連れ込んだパリピ美女だったり、47歳のAV男優だったり、エッジが効いた人たちの語る半生には断然引き込まれた。こういうのこそが、『家つい』の本領だった気がする。

最初から最後までハゲの話で終わった取材VTR

　2017年3月、錦糸町の居酒屋にてスタッフが声をかけたのは大学時代の友人だという男性2人組。年齢はお二方ともに26歳だそうだ。歳を聞いたスタッフが思わず「お若いですね」と口にしていたが、筆者もそう思った。正直、パッと見はもっと上に見える。理由はおそらく髪型だろう。

　2人のうちの1人、兼村さんが快諾してくれたのでスタッフは彼の家へついて行くことに。同席していた友人の土居さんもロケについて来るようだ。到着した彼の家は、家賃8万円の1Rマンション。部屋には若い頃の兼村さんの写真が飾ってあった。

「僕、お母さんから内村航平に似てるって言われるんですよ」（兼村さん）

　確かに少し似ているが、それより我が家の谷田部俊に似ている気がする。そして、その横には20歳の頃の土居さんの写真も貼ってあった。現在、彼の頭は坊主なのだが、当時の彼はフサフサでイケてた。「これが、3年後にはこれなんですよ」と、自虐的に帽子を脱いでみせる土居さん。

「『このまま俺はイケイケの人生を歩むのかな』と思ったら、いきなり髪の毛が抜け始めて。本当にいきなりなんですよ。親族の集まりがお盆とかであるじゃないですか。それを見る限り、周りはツルツルなんですよね。やっぱり、遺伝子には勝てないなと（笑）」（土居さん）

　兼村さんも続いた。

「（髪をかきあげながら）でも、俺もハゲなんですよね。自分も一族でハゲなんですよ」（兼村さん）

　ハゲ自慢をし合ってどうする。でも、特に土居さんのほうはハゲが似合っているし、2人ともいい人そうだし、どちらも彼女はできそうな印象。だが、土居さんは現在フリーだそうだ。

「今いないんですよね。ってか、人生でいたことないんですよね。結構頑張ってたんだけど、ひとつも実らず終わったっていう（苦笑）」（土居さん）

一方の兼村さんには交際中の女性がいる。相席屋酒場で引っ掛けた彼女で、交際歴は9カ月。バイきんぐ・小峠英二の元カノである坂口杏里似の女性だそうだ。

土居　「その彼女はハゲに対してどう思ってんの？」
兼村　「たぶん、ハゲに偏見なかったから俺と付き合ってるんでしょ」
土居　「へー。じゃあ、いい彼女じゃん」
兼村　「俺らが思ってるよりハゲに世間は優しいんだよ」
土居　「確かにね」

　さっきからハゲ話ばかりしている2人。そろそろ、他の話題も聞きたい。スタッフが本棚に目を向けると、そこにあったのは『スローセックス実践入門』なる書籍だった。

兼村　「僕がちょっと人よりも早いんで、それの改善のために勉強しようかなと思って。ハゲって性欲強いってイメージあるじゃないですか。でも、『ハゲで性欲強いくせに早漏』って言うとバカにされちゃうんですよ、どこに行っても」
――最速、どれくらい？
兼村　「2秒ですね。最長1分半くらいですね」
――あっ、1分超えてるじゃないですか。
兼村　「それは2発目なんですけど（満面の笑み）」

　21時台に話す内容じゃない。酔ってるから話してるのだろうけど、全国放送で「2秒でイッた」は異常事態だ。周りの人から変なあだ名をつけられないか心配だし、このVTRが5年もお蔵入りしていた理由もなんとなくわかった。ただ、個人的にこういうノリは嫌いじゃない。他人のこんな話なんて聞きたかないけども、聞いたら聞いたで笑ってしまう。真面目な話、早くても2発いけるなら全然問題ない。遅漏のほうがよっぽどつらいだろう。

　結局、最初から最後までハゲの話で終わった今回のVTR。床にカメラを向けて抜け毛を映すスタッフの悪意も、それはそれでいいいスパイスだった。

　4年10カ月後、『家つい』は2人に追加取材を行っている。兼村さんは新恋人ができて、目黒で同棲中だそうだ。そして、気になるのは「人生で彼女ができたことがない」と言っていた土居さんである。どうやら彼、今は髪を伸ばしているらしい。結果、真ん中からのみ髪が生えない逆モヒカン状態になってしまっている。「前のスキンヘッドのほうがよかったのに……」と思っていたら、昨年8月に結婚したことが判明！　これは、素直におめでとうだ。まあ、もともとお洒落だったし、モテなくなさそうだとは思っていた。

　錦糸町で見つけた薄毛コンビは、久々の当たりだった。『家つい』には、こういうのを求めている。