『家、ついて行ってイイですか?』、21時台に堂々展開される薄毛と“2発目”の話
#テレビ東京 #家、ついて行ってイイですか?
何もなく生まれてくるのは奇跡。何かあって生まれてきても奇跡
埼玉県上尾市の100円ショップでスタッフが声をかけたのは、25歳のパパと34歳のママ、そして2歳の男の子のファミリーであった。会社員のパパは育休中とのことだ。お子さんが2歳なのに育休中というのが解せないが……?
この家族の家へついて行くと、これがまた超格安物件だった。築50年の3Kで、家賃は32,000円。パパはまだ25歳だし、一戸建て購入のためにお金を貯めているのだろう。ところで、ご主人のイクメンぶりはどんな感じなのか?
奥さん 「『やって』と言ってもらったことをやってもらってるくらいです」
ご主人 「『私これやるからあなたこれやって』『わかりました』って。育休をもらったばかりなので、サポートぐらいしかできてないんですけど」
あまり育休の意味がなさそうである。ただ、この奥さんは専業主婦らしい。お子さんは2歳だし、ママは専業主婦。パパの育休を取る理由が、やっぱりよくわからない。
2人の出会いはご主人の大学生時代に遡る。彼は駅ナカのお蕎麦屋さんで働いていて、奥さんは系列のスイーツ店の社員だった。そして、ご主人の働く駅に奥さんが異動してきた。当時はご主人が21歳で奥さんは30歳だった。
ご主人 「全然見慣れない顔で、『うわ、な、なんだ、この綺麗な人は!』ってなっちゃって。雷が落ちて、自分に。『綺麗だ!』つって、ねえ?」
奥さん (ひたすら照れる)
化粧をした奥さんが檀れいみたいに美人なのだ。30歳からすると21歳は子どものように見えてしまうが、「年齢を抜きにしたらいいんだろうな」と奥さんが思うことで2人は交際に発展し、ご主人の恋は成就した。
2人の馴れ初めを聞いた後、スタッフは家族が物置代わりに使っている部屋に案内してもらった。そこにあったのは、次男くんのマタニティノートだ。あれ、お子さんは1人だけではなかったのか?
次男くんのお名前は「歩波(ほなみ)」。取材の前月にあたる昨年9月2日に誕生したそうだ。実は、彼の心臓には左心室がない。「左心低形成症候群」という指定難病で、現在は順集中治療室に入院しているという。医師からは「心臓病の中でも1番の重篤」と言われており、計4回の手術が必要らしい。1回目の手術は歩波くんが生まれて2日後にすでに行われた。ただ、手術はしても完治はしない。この先、楽に生きていけるようにするための手術が4回あるのだ。
「元々、育休は2カ月取るつもりだったんですけど、病気が発覚してから会社が『もっと取ったほうがいい』って言ってくれたんで、半年の育休を取っています」(ご主人)
理解のある会社でよかった。そして、ご主人が25歳なのにしっかりしていて本当によかった。一方の奥さんが、布にくるまりながら何かゴソゴソしている。
「これは今、搾乳してます(笑)。この子(次男)に飲ませたくて搾乳はするけれども、病院のほうに母乳のストックはいっぱいあるので、子どもに飲ませられずにそのままシンクに捨てることを今は繰り返してます。母乳は出した分だけ新たに作られるので、(搾乳を)止めてしまうと子どもに飲ませたいときに出なくなってしまうんです」
「私の場合は1日5回捨てます。最初は泣きました(苦笑)。でも今は、『子どもが飲みたいって言ったときにちゃんと母乳を出せるようにするため』と思って、割り切ってやってます」(奥さん)
歩波くんの病気がわかったのは出産予定日の1カ月前。いつも通りに妊婦健診を受けていると、医師から「大きな病院でエコーを見てもらってください」と言われ、明らかになった。
「お腹の子は……私のお腹の中では元気に動いてるんですよ。エコーの度にすごく元気に蹴るんです。なのに、生まれた世界では自力で生きていけないって。『健康な心臓を持って産んであげられなくてごめんね』しか最初はなかったんですよね(泣)。ごめんね、ごめんねって言葉ばかり」(奥さん)
医師が言うには、歩波君が20年生きる確率は69%だそうだ。
ご主人 「先がわかんないよね。毎日、不安です」
奥さん 「でもひとつ言えるのは、生きてるんですよ、今も。強く心臓を打って生きてるんです。それを私たちが諦めちゃいけないし。何もなく生まれてくるってすごく奇跡なんですよ。でも、何かあって生まれてきてもそれも奇跡だし、それに気付かせてくれたのは歩波なんですよね。だから本当に、感謝の気持ちでいっぱいです」
荒波にも負けず強く歩んでいってほしいという意味を込めて付けたという名前「歩波」。いい名前だ。ご夫婦の話を聞くに、長男くんはまだ弟に会えていない。4人で暮らせる日が早く訪れるといいと願う。
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