40代ロスジェネ世代メディア関係者語る22年の希望と絶望 菅前首相と岸田首相の評価
#ロスジェネ
世代として「メタバース」にどこまで没入しきれるか
――テック系のCさんは、少し毛色の違ったニュースを挙げていましたね。
C 僕は「Web3」を挙げたんですけど、別にブロックチェーンや分散型に限らなくても、いまなら「メタバース(仮想空間)」という言葉で言い換えた方が分かりやすいかも。
A 2021年は、フェイスブックがメタに社名を変更した年でしたが、Cさんはどういう評価をしてるんですか。
C 20年くらい前に「セカンドライフ」というサービスが話題になって、すぐ廃れましたけど、あんな感じで盛り上がって、またすぐ冷めるんじゃないですか。インフラ含め技術的にはかなり進んだとは思うけど、そういう波が何度も押し寄せたり引いたりして、僕らが現役を退くころにようやく実用に近づくと。
B 私たち世代だと、ゲームは当たり前にやってるけど、それはそれ、現実は現実でやってきたので、生活全体でメタバースに没入できるとは思えないんですが。
C 周囲の業界人たちも、いまさらながら「現実世界って、解像度や情報量がハンパなくない?」とか言い出してる(笑)。
A ビジネス面では、新しいバズワードは投資のきっかけになるので、安易に消費しないで大事にしたいと思うんだけど。あと、いまの10代20代の子たちが僕らと違う感覚でメタバースに向かうのであれば、商売としては冷めずに追っていきたいし。――と、去年の話はこれくらいにして、2022年はどうなると思いますか?
B 今年は参院選があるんだけど、たぶん自民党がまた勝つと思う。さっきAさんが「ネット左翼の敗北」と言ってムッとしたけど、いわゆるリベラル系の人たちの「正義の押し付け」が嫌われてるのは認めざるを得ない。本来のリベラルとは逆のことをしてるから仕方ないんだけど、これからのリベラルをどういう形で整理して行動していくかは、私には仮想空間とかよりもずっと興味がある。
団塊世代とデジタルネイティブとの間で何を目指す
――岸田首相の評価とか、元政治部記者としてどうですか。
B 私の周辺の女性には評判がいいというか、悪評はあまり聞かない。でもそれって、波風を立てないようにしてるだけで、必ずしも有能の証ではないですよね。参院選には、そういうアプローチが一番有効なんだと思う、悔しいけど。
C 「危機のときには、拙速、やりすぎの方がまし」とか言ってたけど、ただ批判されないように無難に振る舞ってる感じはしますよね。
A リーダーシップとは、一時的に不満が高まっても、メンバーを最終的に納得できるところまで連れていくこと。その意味で、菅さんは正しいリーダーシップを発揮したと思います。長いこと官房長官として政権内部を見ていて、ここは何が何でもやる、と決めたことはやりとげた。最後はコロナや五輪といった重荷も加わって、疲れ切った表情が国民から嫌われてしまったけれど。
C いまの時代は「不言実行」的な行動や成果より、「説明責任」というか、弁舌さわやか、誰かに嫌われることを言わないことが一番大事で、その点で岸田さんは適任ですよね。でも、たぶん岸田さんでは、デジタル庁の新設はできないし、種苗法改正とか日本学術会議の改革のような波風が立ちそうなことは、これからもやらないと思う。
A ほんと、菅さんにやっておいてもらって助かったと思うことは多いですよ。一方で岸田さんは、株価が下がるようなことばかりすると思うけど、日本国民のほとんどが「投資より貯蓄」ですから支持率には影響がない。むしろ投資家を吊し上げた方が庶民の人気が出ると思ってるんでしょう。野党はいつまでも「昭和の正社員主義」みたいなことを言ってるし…。2022年は与野党ともに、守旧的な雰囲気が蔓延しそう。
B 私たちの親世代である「団塊の世代」が後期高齢者になる時代ですからねえ。政治家は国民の写し鏡です。
C 昔の学生運動を懐かしみながら「アベ政治を許さない」と盛り上がった後で、いまさら変革なんかしたくない、穏やかに最期を迎えたい人たちの意向を最優先にする時代が、これから何年続くんでしょうか。
A 彼ら昭和世代のお世話を終えた後で、我々はメタバースにも乗り遅れ、ネットネイティブな下の世代に突き上げられて居場所を失っていく。
B 椎名林檎は「簡素な真人間に救いある新型社会」を樹立しようと『緑酒』で歌ってたけど……。やっぱり東京五輪の開会式が、私たち世代が存在感を示す最後のチャンスだったんだよなあ。
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