40代ロスジェネ世代メディア関係者語る22年の希望と絶望 菅前首相と岸田首相の評価
#ロスジェネ
コロナ禍が3年目に入った2022年。感染力の強いオミクロン株の登場で、日常生活の回復はまたも先送りとなってしまった。年明けには5年ぶりの大幅円安となり、日本経済の先行きには暗雲が垂れこめている。
この状況を、2000年前後に社会に出て好景気を知らない「ロスジェネ世代」はどう見ているのか。出版社出身でビジネス系ネットメディア編集者のAさん(男性)、元新聞記者でライターのBさん(女性)、IT系ネットメディア編集者兼ライターのCさん(男性)の40代トリオに、2021年の振り返りと2022年の展望を語ってもらった。
左翼界隈に衝撃を与えた「ネットと現実との差」
――事前に「2021年の5大ニュース」のアンケートをしたところ、3人で共通していたのは「コロナ」「東京五輪」「衆院選」の3つでした。
A まあ、これは固いんじゃないですか。
B では、これで三題噺ということで(笑)。
A 前年からくすぶっていたコロナの感染者数が、8月に爆発的に増えて、野党を中心に五輪反対運動が起こった。しかし当時の菅首相が再延期を拒否して開催を強行したので、マスコミが騒ぎ、支持率が落ちた菅さんは自民党の総裁選立候補を断念した。
C 新しく決まった岸田総裁に対抗して、立憲民主党は日本共産党と共闘して衆院選に臨んだけど、事前のネットでの盛り上がりに反して議席を大きく減らしてしまった…。オチはないですけど。
A 2021年はそんな流れでしたよね。菅さんや岸田さん、野党に対する評価は、人によって違うと思うけど。
B 野党共闘は、結果的に議席を減らしたから失敗と批判されてるけど、候補者調整をしなければ議席はもっと減っていた。なので私は評価をしているんだけど。
――枝野さんは、党首を辞任する必要がなかったってことですか。
B 事前に予測されていた問題には、ある程度手が打てていたと思います。
A 支持者の事前の期待が、あまりにも高すぎたのでしょう。僕は5大ニュースのひとつに「ネット左翼の敗北」を挙げたけど、ツイッターでの政府批判の盛り上がりが選挙結果に結びつかなかったことに、界隈の人たちはショックを受けていました。
C 野党は支持者層とともに、エコーチェンバーに閉じているのでしょう。岸田総裁の「財政再建派」と高市政調会長の「積極財政派」の対立が自民党内で盛り上がる中で、臨時国会の野党が相変わらず「モリカケ桜」。これじゃ存在感が薄れるのも当然だなと思いました。
MIKIKO先生は五輪組織委相手に訴訟を起こすべき?
B それでいうと、私は野党支持者だし、5大ニュースに「ジェンダー」を挙げさせてもらったけど、このテーマが衆院選で盛り上がらなかったことに虚しさを感じたな。
A それだから立憲共産党は負けたんだよ。ジェンダーで腹は膨れない。
B いや、ジェンダーは死活問題よ。私は、東京五輪の開会式の「MIKIKOチーム案」が電通出身のおじさんたちの汚いやり方で潰されたのを報じた文春の記事が、2021年のトップニュースだと思ってるんだけど。
C 40代女性のMIKIKO先生や椎名林檎が作る開会式は、僕も見たかったなあ。小山田問題とかもあって本番は本当にひどいことになっちゃったけど、あれは2021年の日本の劣化を象徴する出来事だった。
B やっぱり古い「昭和のおじさん文化」をぶっ壊さないと、新しい日本はやってこないのよ。だから五輪の開会式は、私たちの世代でそれを実現できる凄くいいチャンスだと本当に楽しみにしていたのに、こんな形で頓挫するなんて。
A 言いたいことは分かるよ。でも、選挙でジェンダーなんて打ち出したってムダだよ。それに開会式の問題は、まずは発注者による優越的地位の濫用と捉えるべき。それを「女だからなめられた」で押すのは、問題のすり替え。
C 佐々木さんとMIKIKO先生が受発注の関係にあったかどうかは分からないけど、元電通としてはいつものノリでやったんでしょうね。発注者問題でいえば、野村ホールディングスが日本IBMに敗訴確定したのも2021年でした。これでめでたく「仕様凍結後に変更要求を多発してると、プロジェクト失敗の責任を取らされますよ」という脅し文句が使えるようになった(笑)。
B それを言うなら、MIKIKOさんが損害賠償請求の裁判で勝てば「おじさんの論理で押し切ろうとするなら、佐々木さんみたいに吊るし上げられますよ」と反論できるようになるんじゃない? いまからでもやってくれないかな。
A 判決には「ジェンダー」の言葉なんて出てこないと思うけど。まあ、筋論は別として、本当に五輪組織委員会相手に訴訟を起こすようなことがあれば、陰湿な組織の論理が絡んだ泣き寝入りは減るかもしれないね。
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