『ラヴィット!』が批判と我慢の末に低迷を脱したワケ―テレビ界が抱える問題点
#ラヴィット!
朝の情報バラエティ番組『ラヴィット!』(TBS系)が当初の低迷を脱し、視聴者からの人気を獲得しつつある。
“ライフスタイルバラエティー”を謳い、麒麟の川島明をMCに迎えて2021年3月にスタートした同番組、当初は『ヒルナンデス!』(日本テレビ系』との類似性が指摘されるなど、評判は散々だった。当然ながら視聴率も低迷。だが、多数の若手芸人が出演する中、次第に彼らが我先にとボケ、しのぎを削る“大喜利番組”の様相を呈すようになってくる。
「もちろん制作側も意図はしてなかったんでしょうけど、結果的にバラエティに振り切った内容となり、“二番煎じ”と呼ばれた『ヒルナンデス!』はおろか、他番組にはない異彩を放つようになりました。さらに乃木坂46や日向坂46といったアイドル、若者人気の高いインフルエンサーなども出演。それに伴い、当初1%程度(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった視聴率もコンスタントに2%台後半を記録するようになっています。そういえば、同局の『水曜日のダウンタウン』とのコラボ企画も記憶に新しいですね」(テレビ誌編集者)
このコラボ企画は『水曜日~』が『ラヴィット』に仕掛けたドッキリで、アイドルグループのゆるめるモ! 元メンバーの、あのをゲストとして『ラヴィット』に送り込み、例の大喜利に参加させるというもの。ただし、大喜利の受け答えはあのではなく、千原ジュニアや野性爆弾くっきー!、霜降り明星・粗品、オードリー春日ら、百戦錬磨の芸人たちが別室から遠隔操作で行った。そんなあののユニークかつ意表をつく回答に、川島をはじめ出演陣は困惑することしきりだったが、種明かしは『ラヴィット』では行われず、『水曜日~』で行われたという攻めた企画だった。
「こうした企画が実現したのも、放送開始から1年かけて『ラヴィット』の番組としての立ち位置が確立されたからだと言えるでしょう。やはりひとつの番組の人気が定着するには、それなりに時間がかかるということ。それは、この年末年始の特番の視聴率を見ても明らかです」(同)
さて、年末年始の特番では、意外な番組が躍進した。ひとつは大みそかに『NHK紅白歌合戦』の裏番組として放送された『孤独のグルメ2021大晦日スペシャル 激走!絶景絶品・年忘れロードムービー』(テレビ東京系)が視聴率6.1%を記録し、『ザワつく!大晦日 一茂良純ちさ子の会』(テレビ朝日系)9.3%、『大晦日はRIZIN』(フジテレビ系)7.4%に次ぐ民放3位だったこと。
そして、もうひとつは2日に放送された『バナナマンのせっかくグルメ!! 新春食べ始めSP』(TBS系)。こちらの視聴率は17時~が8.6%、18時~が10.9%、19時~が10.8%を記録し、同時間帯に放送された番組の中でトップだった。『世界の果てまでイッテQ!新春スペシャル』(日本テレビ系、18時30分~が7.4%・19時~が9.6%)、『夢対決2022 とんねるずのスポーツ王は俺だ!! 5時間スペシャル』(テレビ朝日系、18時30分~が7.9%・19時~が9.7%)、『チコちゃんに叱られる!「新春拡大版スペシャル!鎌倉殿の13人が見たい!」』(NHK総合、10.1%)といった人気番組を上回ったのだから、まぐれとは言えまい。
「『孤独のグルメ』の年末特番は2017年から5年連続で放送されており、過去4年は平均視聴率4%台でしたが、今回は初の5%超えとなり、民放3位に食い込みました。『せっかくグルメ』にしても14年から特番としてスタートし、放送形態や時間を変えながらしぶとく生き残って結果を残しました。人気番組を育てるには、時間がかかるんです。しかし、テレビ局は短期で結果を出そうとキャストばかりにこだわり、結局は同じような出演者と企画になって、つまらない番組内容で視聴率が低迷するという悪循環に陥っています。番組製作についてはもっと長い目で育てていくべきだし、スポンサー側も単に高視聴率に乗っかるのではなく、良質な番組内容を見極める目が必要です」(同)
ネットの攻勢や広告収入の激減など、テレビ業界の危機か言われて久しいが、大事なのはテレビ局とスポンサーがともに協力しながら、人気コンテンツを作り上げていく姿勢ではないか。
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