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本多圭の『芸能界・古今・裏・レポート』

紅白歌合戦が“高齢者切り捨て”で迎えた断末魔…『笑ってはいけない』復活が決定打に!?

紅白歌合戦が高齢者切り捨てで迎えた断末魔…『笑ってはいけない』復活が決定打に!?の画像1
司会者・大泉洋の奮闘も虚しく

 例年、日本テレビ系の裏番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』に視聴率を脅かされてきた『NHK紅白歌合戦』。昨年はその「絶対に笑ってはいけないシリーズ」が休止になったことで、『紅白』の一人勝ちになるのでは、と言われていたが、蓋を開けてみれば、平均世帯視聴率34.3%(ビデオリサーチ調べ/関東地区、以下同)と歴代最低を記録した。

「NHKは、若年層からの受信料獲得のため、高齢者を切り捨て、若者に媚びる番組制作に走りました。その結果、視聴率で惨敗。外部だけでなく、NHK内部からも『紅白』打ち切りの声が挙がっていますよ」(音楽ライター)

 民放では、11年連続トップだった『ガキの使い』の特番「笑ってはいけない」シリーズを休止した日本テレビ系が、新番組『笑って年越したい! 笑う大晦日』を放送したが、平均世帯視聴率は第1部が7.2%、第2部が5.6%。第1部だけ見ても、前年の『笑ってはいけない~』の17.6%から10ポイント以上ダウンした。

『笑ってはいけない~』に代わって民放トップとなったのは、テレビ朝日系の『ザワつく! 大晦日 一茂良純ちさ子の会』の12.1%(前半)。また、テレビ東京系の『第54回年忘れにっぽんの歌』は8.3%と、前年より0.9ポイントアップさせ、音楽関係者から「テレ東のほうがよっぽど『紅白』らしい」と絶賛する声が挙がった。

「『年忘れにっぽんの歌』の出場歌手は、『絶対にはずさない名曲』というコンセプトのもと、往年の名曲をじっくり聴かせる内容で、出場歌手も、去年『紅白』を落選した五木ひろし始め、演歌・歌謡曲系の歌手を中心に、ほとんどが『紅白』経験者。毒舌で知られるテレビプロデューサーのテリー伊藤も、ラジオ番組で『年忘れ』を絶賛していました」(夕刊紙記者)

 テリー伊藤が絶賛するように、昨年8月に誤嚥から小脳出血を発症して、言葉に障害を残した“永遠の若大将”加山雄三は、『年忘れにっぽんの歌』で完全復活を果たした。

「加山は、話すときはろれつが回らないところもありましたが、歌は完璧でした。渋い演歌の大川栄策や千昌夫などは、コロナ禍で歌う場所を失ったことで、『年忘れ~』のために喉を調整してきたことが窺えました。平和勝次の『宗右衛門町ブルース』などは、久々に聴いて涙が流れました。“昭和歌謡ファン”にとっては最高の番組でしたよ」(元音楽プロデューサー)

 一方、『紅白』は年々“演歌枠”が減少。昨年は五木ひろしも落選し、演歌歌手は男女ともに4~5組程度だった。

「NHKは、M1層やF1層(20~34歳の男女)の意識調査をしたうえで選考したようですが、その層は受信料未払いが多い。NHKの狙いは、新たな受信料の獲得ですよ。その代償として、『紅白』を支えてきた高年齢層を切り捨てた。彼らの間では、青春の1ページとして、昭和演歌や昭和フォークがブームになっている。その歌が聴けなければ、『紅白』は見ませんよ」(音楽ライター)

 筆者は幼い頃、ラジオから流れる岡晴夫、青木光一、三橋美智也、春日八郎の歌を聴いて育った。その後、橋幸夫、舟木一夫、西郷輝彦の“御三家”や、故・西城秀樹さんや野口五郎、郷ひろみの“新御三家”、宇多田ヒカルの母親の故・藤圭子さん、それに大川栄作らの歌に魅了されてきた。

『週刊ポスト』の記者を辞めてフリーになって食えない時代、イベンターの仕事をしていた時は、大分県で行われた中島みゆきのコンサートや、『思い出まくら』の大ヒットで知られる小阪恭子の福島県会津若松市のコンサート、『わかってください』で知られる因幡晃の岡山県のコンサートに同行したことがあった。いずれもコンサートの後、打ち上げで一緒に一杯飲んだことが、いまだに記憶に残っている。

 ほかにも、昭和フォーク歌手のコンサートに同行した経験があって昭和フォークが懐かしいが、そうでなくても、カラオケ仲間の間では“昭和歌謡ブーム”を感じている。
「そのときの歌手が一人も出ていない『紅白』なんて、高齢者は見ませんよ」(元有線放送関係者)

 これまで17%台の視聴率を取って『紅白』を脅かしていた日テレの『笑ってはいけない~』も、代替番組の視聴率が惨憺たる数字だったこともあって、早くも今年は復活が予想されている。

「復活すれば、期待度が高まって20%台の視聴率を取るかもしれない。そうなれば、『紅白』は打ち切りの検討を迫られることになりますよ」(番組制作会社プロデューサー)

 実際、ダウンタウンが所属する「吉本興業」の大崎洋会長は、昨年、筆者の取材に、「番組スタッフから、(『笑ってはいけない~』は)1回休もうと言ってきただけ。ただそれだけ」と復活に含みがある発言をしている。

 他方、NHKはといえば、昨年1月に会長に就任した前田晃伸氏は、マンネリを打破するため、同局の長寿看板番組『ガッテン!』と『バラエティー生活笑百科』の打ち切りを決定した。
「大改革を提唱している前田会長は、『紅白』についても提言していましたからね。彼の任期は23年1月まで。昨年の『紅白』の歴代最低視聴率を見て、打ち切りを判断するかもしれません」(元NHK音楽スタッフ)

 若い世代に人気のアイドルグループを並べても若者を惹きつけられず、昭和歌謡や演歌を切り捨てた結果、高齢者にそっぽを向かれた『紅白』。たしかに改革が必要な時かもしれない。

本多圭(ジャーナリスト)

芸能取材歴40年以上、タブー知らずのベテランジャーナリスト。主な著書に『 スキャンダルにまみれた芸能界のトンデモない奴ら』など。

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最終更新:2022/01/20 11:36
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