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オズワルド、錦鯉、ハライチ…芸人たちの“物語モード”と「まーごめですね」

オズワルド、錦鯉、ハライチ…芸人たちの物語とマジックワード「まーごめですね」の画像1
『芸人シンパイニュース』(テレビ朝日系)公式Twitter(@bakumonshimpai)より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(1月2~8日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします

オズワルド・伊藤「………猿のネタってなんだよ」

 年が明けて2022年。昨年末に決勝が行われた『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)のその後を追う番組は、まだまだ続いている。

 まず、7日の『芸人シンパイニュース』(同前)。昨年の秋まで放送されていた『爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!』(同前)から派生した特番だ。レギュラー放送時から錦鯉やオズワルドの近況を伝えてきた同番組は、今回も当然のように、決勝前から2組の動向に密着していたという。

 決勝当日、錦鯉の長谷川雅紀と同じアパートに住む芸人仲間(通称、たまご会)は、毎年M-1の際に長谷川に食べさせるという特製のカツカレーと、キットカットで験を担ぎながら放送を見守る。オズワルドの伊藤俊介がルームシェアをしている部屋(通称、まーごめハウス)では、森本サイダーと大鶴肥満(ママタルト)が、自家製ピザを食べながら観戦する。

 結果は周知のとおり、最終決戦で猿を捕まえるネタを披露した錦鯉が優勝。オズワルドは涙をのんだ。結果が出たあとの大鶴肥満のコメント、「(オズワルドが負けて)残念っていう気持ちもあるんですけども、個人的に錦鯉さんが大好きすぎて、ちょっと、嬉しいっていう感情が多いですね。………まーごめですね」が絶妙だ。同居人としての悔しさと、芸人仲間としての嬉しさと。そんな複雑に入り組む感情をまるっと飲み込んでいくマジックワード、まーごめ。

 番組のカメラは、優勝が決まった直後から立て続けにメディアの取材を受けていた錦鯉のもとへ。その取材場所にやって来たのは、家賃4万円のアパートから、往復2万円のタクシー代をスタッフが払う形で駆けつけたたまご会の面々だ。彼らが放送を見て泣いていたことを伝えられた長谷川は、「それ見てまた泣いちゃうな」と口にした。

 伊藤宅では、昨年『キングオブコント』(TBS系)で蛙亭のイワクラが敗退したときと同様、帰ってきた伊藤を大鶴肥満のピザが出迎える。それを頬張りながら、ソファーに深く座った伊藤は「甘かったなぁ。そんな簡単じゃねぇな、やっぱ」とため息まじりに語ると、しばし沈黙。その後、笑顔にも見えるし、苦虫を噛み潰した顔にも見えるような、なんとも形容しがたい表情をしながらつぶやいた。

「………猿のネタってなんだよ」

 一方、8日の『おかべろ』(関西テレビ)には、2021年のM-1ファイナリストからオズワルド、インディアンス、モグライダーが出演。M-1の裏話などが語られていた。

 オズワルドの伊藤は語る。決勝の3日前ぐらいに、錦鯉の渡辺隆と喫煙所で一緒になった伊藤。その場でM-1決勝でのネタ選びの話になったらしい。「決勝なんのネタやるんすか?」との伊藤の質問に、渡辺は「まぁ、1本目は準決の合コンのやつかな」と答えた。そして――。

「『2本目何やるんすか?』って聞いたら、『猿のネタがあるんだよなぁ』って言われて。こーわっと思いました」

 猿のネタがあると聞かされたとき実際に怖くなったのか、「こーわっ」は敗退に至る物語を強調するためのトーク上のちょっとした脚色なのか、そのあたりはよくわからない。いずれにせよ、「………猿のネタってなんだよ」という敗退後の伊藤の言葉には、その3日ほど前の渡辺の「猿のネタがあるんだよなぁ」という“伏線”があったようだ。

 M-1をめぐる芸人たちの物語は続く。出場芸人たちもまた、今回の結果を受けて物語を編み直し、次のM-1に向けたコンテクストを整えていく。

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