『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』、カギは成長とマルチバース
#映画 #スパイダーマン
急ピッチで取り入れられたマルチバースという概念
DCコミックス(以下、DC)にとって、スーパーマンやバットマン、ワンダーウーマンなどヒーローが大集合した映画『ジャスティス・リーグ』(2017)は、ライバルであるマーベルコミック(以下、マーベル)の『アベンジャーズ』(2012)に大きな遅れをとってしまった。
『ジャスティス・リーグ』は、本来であればジョージ・ミラーによって、『アベンジャーズ』よりも先駆けた2008年頃に公開する予定だった。ところが、米脚本家組合のストライキによって企画は白紙になってしまい、結果的にマーベルに先を越されてしまったという経緯がある。
そこでDCは、マーベルのようにキャラクターの著作権が散らばっておらず、親会社であるワーナーが一括で管理しているという強みを生かし、マルチバースという概念をフル活用。ドラマと映画を一気につなげてしまう『クライシス・オン・インフィニット・アース』(2020)を製作した。
『クライシス・オン・インフィニット・アース』は、ドラマ版フラッシュと映画版フラッシュが共演を果たし、さらにはティム・バートン版『バットマン』(1989)や、打切りになったドラマ『ゴッサム・シティ・エンジェル』、Netflixで配信されていた『ルシファー』までもつなげてしまったのだ。
2022年11月アメリカ公開予定の『フラッシュ』でも、さまざまな時間軸のフラッシュやバットマンなどが共演する。
こうしたマルチバースという概念は、コミックでは多様されているが、映画に取り入れるにはリスクが伴う。ストーリーで描ける領域が拡大されすぎて、逆に何でもありになってしまい、作品としての質よりも画的なおもしろさに逃げてしまう危険性があるからだ。そのため、マルチバースを導入するタイミングは、これまで慎重に議論されてきた。
今回、スパイダーマンがこのマルチバースを取り入れたことに限らず、マーベルもDisney+で配信されたドラマ『ロキ』やアニメ『ホワット・イフ…?』でも、マルチバースがメインテーマとして扱われている。今後も『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』『アントマン&ワスプ:クアントゥマニア』『ロキ』シーズン2などで、マルチバースが本格的に導入されていくことがすでに決定している。
マーベルとDCはアメリカにおいてトップを争う2大出版社であるだけに、常に互いを刺激し合い、共に成長してきた。映画の分野においてもそれは同じだ。
両社にとって、マルチバースという設定をいかに暴走させず、バランス良く定着させられるかどうかが、今後のアメコミ映画界の大きなハードルとなっていくことには違いない。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
2022年1月7日(金)、全国の映画館にて公開
・監督:ジョン・ワッツ
・脚本:クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
・製作:ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル
・出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイ、アルフレッド・モリーナ、ウィレム・デフォー、ジェイミー・フォックス
・コピーライト:©2021 CTMG. © & ™ 2021 MARVEL. All Rights Reserved.
■オフィシャルサイト&SNS
◆スパイダーマン公式Twitter:@SpidermanfilmJP
◆スパイダーマン公式Instagram: @spidermanfilm_jp
◆ソニー・ピクチャーズ映画公式TikTok::https://www.tiktok.com/@sonypicseiga
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