『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』、カギは成長とマルチバース
#映画 #スパイダーマン
「大いなる力には、大いなる責任が伴う」
今作で起こる事件は、スパイダーマン自身が発端である。スパイダーマンの行動によって、取り返しがつかないことが発生してしまうのだ。
『アベンジャーズ』シリーズや前2作は、スパイダーマンは他者が起こした事件に巻き込まれるかたちで、闘いへの参加を強いられてきた。
トニー・スターク(『アイアンマン』)の死に関しても、スパイダーマンの責任ではなかった。そういった意味では、今作で初めて行動の責任が問われることになる。前作でミステリオを信じてしまったことへの代償の余韻を引きずりつつ、自分のために犠牲になる者、犠牲にしなければならない者を選別するなど、スパイダーマンが常に自分の選択への責任が強いられる展開となっているのだ。トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールドそれぞれのスパイダーマンが抱えてきた、力を使うことへの責任だ。ソニー製スパイダーマンにおいて共通の「大いなる力には、大いなる責任が伴う」というテーマが引き継がれている。
これは高校生活の延長線上で行動していたスパイダーマンが、大人になり、ヒーローとしての自覚をもつ分岐点ともいえるだろう。そのため、これまでポップでコミカル色の強かったMCUスパイダーマンは一気にシリアスな展開に突入し、今作のスパイダーマンはいろんな意味で無傷では済まない。
プロデューサーのエイミー・パスカルは、トム・ホランドがスパイダーマンを務める新3部作の製作を発表している。これまでにも大規模な続編企画を発表していながら途中挫折した企画も多く、本当にスパイダーマンシリーズが戻ってくるのか心配な部分はあるが、とにかく今作はこれまでのソニー製スパイダーマンの集大成であり、いったんの完結編として、非常にうまくまとまっている。
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