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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『志村けんとドリフの大爆笑物語』の批評性

現代のお笑い番組への批評を含んだ『志村けんとドリフの大爆笑物語』

現代のお笑い番組へのアンチ―テゼを含んだ『志村けんとドリフの大爆笑物語』の画像1
故・志村けんさん

 “日本の喜劇王”と検索すると2名の人物が引っ掛かる。

 ひとりは1922年から1970年まで活躍し、エノケンの愛称で親しまれた榎本健一。

 そしてもうひとりは、記憶に新しい2020年3月29日に新型コロナウイルス感染症に伴う肺炎の為、大勢の人に惜しまれつつこの世を去った「志村けん」だ。

 僕たちの世代、つまり昭和45年から50年代の子供達が一番叫んだ名前は間違いなく「志村」ではないだろうか。子供から大人まで、幅広い世代に愛されていた志村けんさんの半生を描いたドラマが12月27日に放送された。その名も『志村けんとドリフの大爆笑物語』(フジテレビ系)。

 僕のコラムでは珍しい事だが、今回はこのドラマを元芸人目線で分析したい。

 先に書いておきたいのだが、元芸人がドラマに対して意見を述べるのは少々おこがましい事であるのは百も承知だ。だがどうしてもこのドラマに対しては感想を書きたい。それは僕がドリフターズが大好きで、僕がお笑い芸人を目指そうと思ったのもドリフターズがきっかけなのだ。

 僕の世代はウッチャンナンチャン、ダウンタウンといった諸先輩に憧れて、芸人を目指した人間がほとんどだ。それはいちばん多感な時期にテレビで多く見た芸人がダウンタウンさんやウッチャンナンチャンさんだったからだろう。

 しかし僕は小さいころからドリフターズに触れ、小学3年生の時に「いかりや長介」になりたいと思って芸人を目指したのだ。普通は志村けんや加藤茶を目指すと思うのだが、僕はその志村けんや加藤茶と一緒にコントをやりたかったのだ。しかも当時はわからなかったが【ツッコミ】をやりたいと思いいかりや長介を目指したのだ。

 なので今回のコラムは多少個人的主観が混じってしまう可能性が高いが、そこは“ファン目線が入ってしまった”ということで許してほしい。

 まず内容の前にキャスティングに触れたい。この物語は3人のメインキャストで成り立っている。まず主役である志村けん役に山田裕貴さん、そしていかりや長介役に遠藤憲一さん、さらに志村さんが付き人をしていた加藤茶さんには勝地涼さん。

 このキャスティングは本当に素晴らしかったと思う。ビジュアル的にも若干似ている役者を配置している。山田さんや勝地さんに関しては、年齢的にもドリフターズを見て育った世代ではないだろう。だがこのドラマに対しての情熱やドリフターズへの愛、リスペクトを感じた。役者自身が自分でひとつずつ作り上げていく架空の人物ではなく、大人たちが愛してやまないスターを演じるのは相当大変だったと思うが、そのハードルを遥かに越え、ファンとしても大変満足なキャスティングだった。

 ではドラマの内容に踏み込んでいこう。

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