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『チコちゃんに叱られる!』に『相棒』キャスト大挙登場!? あの5代目候補まで…

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『チコちゃんに叱られる!』(NHK)

 2021年12月24日の『チコちゃんに叱られる!』(NHK)で、「今夜はクリスマスイブ! 豪華拡大版スペシャル」が放送された。ゲストは向井理、土屋太鳳、高橋一生の3人だ。

 それにしても前髪を分けて後ろ髪がちょい長めの今の高橋が、パッと見で矢部浩之にそっくりなのだ。ナインティナインが揃い踏みしたのかと思った。あと、向井はドラマ『相棒』(テレビ朝日系)の5代目候補として名前が挙がっており、そういう意味でも注目の存在だ。

『相棒』だけでなく『シン・ゴジラ』のキャスト陣も登場

 この日2つ目のテーマは、「なんで一日の始まりは真夜中なの?」という疑問であった。これは、いい質問! はて、なんでだろうか? 始まりを朝にすると、“まだ暗い日”と“もう明るい日”に分かれるから? それとも、真夜中の暗さがいろいろとリセットしてくれるからだろうか? チコちゃんが発表した正解は「死にそうになった航海士がクレームをつけたから」であった。

 そもそも、1日の始まりが真夜中の0時と統一されたのは1925年だそう。予想外に最近で驚く。だって、まだ100年も経っていないのだから。しかも、昔は1日の始まりをお昼の正午と考える人もいたというのだ。

 この“お昼始まりルール”は、2世紀頃に活躍した天文学者・プトレマイオスが提唱したものである。天文学者の主な仕事といえば、夜から朝にかけて行う天体観測だ。でも、その最中に日付が変わってしまうととても面倒くさい。例えば、夜通し観測を続けた場合。夜中の12時に日付が変わると、今日の星の動きではなくて昨日と今日の星の動きになってしまう。つまり、観測途中で日付が変わると記録の表記がややこしくなってしまうのだ。そこで、プトレマイオスは「日付の切り替わりを天体観測の邪魔にならない昼間にしよう」と決定。こうして、天文学者たちは1日の始まりを正午とする「天文時」を使うようになった……って、さすがに正午は変でしょ! 正午に日付が変わると、日給も2日分になるのかしら? 

 当然、昼12時からスタートする天文時はほとんど浸透しなかった。普通の人にとっては朝起きて夜寝るまでが1日だから、昼の12時は1日のど真ん中になる。昼12時に日付が変わると、仕事中の12時を越えた段階でその仕事は2日目に突入してしまうのだ。朝から夜まで働けば2日間働いたことになり、出勤簿も2日分書かないといけなくなる。これは不便。そのため、多くの人々は日の出から1日が始まり、真夜中に日付が変わる「常用時」を採用した。

 一般人の「常用時」と天文学者が作った「天文時」、2つの時間ルールが存在するというおかしな状態は近代まで続いた。そんな中、1917年にあるクレームが起こり、それを契機に1日の始まりは真夜中になったそうだ。いや、だとしても2世紀から1917年まで中途半端な状態が長く続いていたことが驚きなのだけど……。

 ここで始まったのは、NHKたぶんこうだったんじゃないか劇場「時刻の黙示録」(映画『地獄の黙示録』のパロディ)である。舞台は、第一次世界大戦まっただなかのイギリス。当時、イギリス軍はドイツ、オーストリアなどを相手に熾烈な戦いを強いられていた。

 そんな戦況の中、艦内で指示を執る艦長役を務めたのは神保悟志だ。新人航海士役を演じたのは松尾諭。神保は『相棒』で“ラムネ”こと大河内春樹を演じているし、松尾は弁護士・連城建彦役でたびたび登場している。「たぶんこうだったんじゃないか劇場」のキャストが、不自然に『相棒』(テレビ朝日系)と被りすぎなのだ。しかも、この日のゲストには向井がいる。NHKは妙に『相棒』が好きすぎである。しまいには、右京さんまで出てきそうな勢いだ。

 話を元に戻そう。艦内で航海士が見ていたのは、天文学者が作った航海暦(通称:データブック)だった。「何月何日何時に、どんな星が夜空のどこにあるか」などの情報が掲載されており、航海士らはデータブックを参考に船の位置や進路方向を決めていた。だが、ここで1つの問題が。航海士が普段使うのは、真夜中に日付が変わる「常用時」だ。しかし、データブックを作る天文学者が使うのは「天文時」である。つまり、航海士が自分たちの位置を把握するには、「常用時」の時間から12時間引いた上で航海暦と照らし合わせる必要があったのだ。これはややこしい。やっぱり、標準化って大事なんだな……。

 1922年に世界中の天文学者たちが集まる国際会議(第1回国際天文学連合総会)が開かれ、ここで「1日の始まりは真夜中にすべきか? 昼間にすべきか?」の議論が行われた。多くの人が使う「常用時」に統一してほしいという声と、「伝統を守りたい」「簡単に譲りたくない」という天文学者の主張との対立である。

航海士  「とにかく、真夜中に日付が変わるよう統一してほしい! というのが、我々航海士……いや、世間の望みなんですよ!」
天文学者 「う~ん、却下。我々は千数百年以上、1日が昼から始まる天文時を使ってるんですよ。伝統があるんですよ。それを今さら変える? 歴史への冒涜だ」

 ちなみに、この高慢な天文学者役を演じたのは野間口徹だった。『相棒』で言うところの、快楽殺人犯・北一幸! 神保も松尾も野間口も、全員が『相棒』の重要人物を演じた役者たちである。あと、松尾と野間口と高橋一生の3人にフォーカスすると、こっちはこっちで映画『シン・ゴジラ』の世界へと突入する。スペシャルだけあって、この日の『チコちゃん』はキャスティングにたっぷりお金をかけたようだ。

 話を元に戻そう。「常用時」と「天文時」の対立は、なんと5年も続いたそうだ。当時の議論の様子は、時刻が世界で統一されるまでの歴史を記した「グリニッジタイム」(GREENWICH TIME AND THE LONGTUDE)に残されている。そこには、とある天文学者が「天文学者の知性をもってすれば、必要とされる変更を取り入れるのに何らの困難もなかろう」と言った――と書かれているのだ。つまり、褒め殺しされた天文学者が折れ、「常用時」に合わせる形で時間ルールは統一されたらしい。

 いや~、勉強になった。良いテーマだったと思う……が、どうして真夜中に日付が変わるのかまではまだ示されてない! 「常用時」勝利の経緯はわかったものの、「一日の始まりはなんで真夜中なの?」の解答としては少々ズレていた気がする。

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