『M-1グランプリ 2021』に感じた物足りなさの正体――賞レースの進化を支えるのは何か
#お笑い
お笑いブームがいよいよ極まってきている。ただただ楽しく観るのもいいが、ふとした瞬間に現代社会を映す鏡となるのもお笑いの面白いところ。だったらちょっと真面目にお笑いを語ってみてもいいのではないか──というわけで、お笑いウォッチャー・タカ&ユージが気になる動きを勝手に読み解く!
タカ 『M-1グランプリ』(テレビ朝日系/12月19日放送)のレビューや分析記事が各所出揃って、いよいよ年の暮れです。まずは個別のネタの話から始めましょうか。やっぱりオズワルドの1本目はすごかったですよね。
ユージ 「ビッグピースじゃ~ん!」のときの伊藤の顔が最高すぎる! これぞ爆発、という感じでした。ほかには真空ジェシカとロングコートダディが面白かったです。
タカ 自分は同じくロングコートダディと、あとはランジャタイが笑いました。今年の『キングオブコント』のような空気だったらロングコートダディがいくかなと思ったんですが、そうはならないのが『M-1』なんだなと。
ユージ 『KOC』のようにネタの傾向というべきものはなかったですね。強いていうなら、放送前から言われていた通り「バカ」が強い年ではあったかもしれません。
タカ でも錦鯉の「バカ」とランジャタイの「バカ」は違うと思うんですよね。錦鯉のバカは、大多数に共有されていて、見てる人がこれまでにも知っているバカをやっている感じで安心感がある。ランジャタイは、大多数が見たことのない想像を超えたバカを見て驚かされている感じというか。でも、ファーストラウンドはすごくいろんなネタがあったのに、ファイナルラウンドに入って急につまらなくなってしまった。どこも爆発力がなくなかったですか?
ユージ 同意です。ただ、自分がインディアンスの漫才にそこまでハマれないという好みの問題もあるとは思います。最終3組に残ることに対して納得感がない……。
タカ それでいうとゆにばーすのネタが自分は合わなかったです。はらちゃんと川瀬名人の関係性ってそんな設定だっけ? と思ってしまって。
ユージ しゃべくり漫才にシフトチェンジして面白くなったと思いますが、どうしても設定だったり流れに無理があるようには感じました。
タカ 本人でネタを展開するにしても、もっとフィクション性が高ければ気にならないと思うんです。あるいはベタだけど「俺これやるから、この役やって」みたいな入りにするとか、何か一言挟むことでキャラクターを一枚噛ませてるように見せたらもっと良かったんじゃないかと。
ユージ 漫才コントだった頃もキャラクターを入れずにやっていましたから、そこは名人のこだわりなのかもしれません。2018年時点でNON STYLE石田に「演技力が足りない」と言われていたので、そのあたりをカバーする狙いもあったんじゃないでしょうか。
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