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「飲みニケーション」の“元祖”?「やぐら茶屋」の懐かしCMに見る「Let’s 飲みにケーション」30年史

「飲みニケーション」の元祖?「やぐら茶屋」の懐かしCMに見る「Lets 飲みにケーション」30年史の画像1
居酒屋「やぐら茶屋」の懐かしCM。関西地方を中心に約30年間放送されていた。

「ワイワイ、ドリンキーング!やぐら茶屋♪ ウッキウッキ、トーキーング!やぐら茶屋♪」

 関西出身者ならば、このフレーズにピンとくる人も多いはず。かつて関西地区を中心に放送されていた、居酒屋「やぐら茶屋」のCMである。

 ハイテンションなメロディーをバックに、ゆうに30人は超えるであろう社会人の男女がワイワイガヤガヤとお酒を酌み交わしている。人々の服装や髪型はもちろん、コロナ禍のいまは酒場のにぎやかさにも懐かしさを感じるが、注目すべきは、ラストに「Let’s 飲みにケーション」というキャッチコピーが登場するところだ。

「飲みニケーション」の元祖?「やぐら茶屋」の懐かしCMに見る「Lets 飲みにケーション」30年史の画像2
「Let’s 飲みにケーション」

 この「飲みニケーション」というワード、昨今は若い世代を中心に忌避されるようになった印象がある。

 日本生命保険は今年10月に「職場の方との“飲みニケーション”は必要だと思いますか?」というアンケートを実施。すると、「不要」回答が61.9%に達し、「必要」回答の38.2%を大きく上回った。

 新型コロナウイルス禍で迎える2回目の年末年始も、大々的な忘年会や新年会を控える企業は多そうだが、職場の仲間と酒を酌み交わす中で得た思い出や成長を糧に、頑張ってきた人も多いのではないだろうか。

 そこで、「飲みニケーション」の“元祖”といえそうな「やぐら茶屋」の経営会社に、「飲みニケーション」の誕生秘話や、居酒屋文化の過去と未来の行く末を聞いてきた。

「飲みニケーション」はサラリーマンに都合がいい新語だった

「飲みニケーション」の元祖?「やぐら茶屋」の懐かしCMに見る「Lets 飲みにケーション」30年史の画像3 「『やぐら茶屋』のCMは、1981~85年あたりに制作されたものです」と話すのは、「やぐら茶屋」の経営元であった株式会社ダイワエクシードの沼田伸一さん。このCMが「飲みニケーション」の“元祖”かどうか正確には不明だが、今から約30年前にはすでに「飲みニケーション」というワードが登場していたことがわかる。

「『やぐら茶屋』のCMは、日本の社会の転換期と深く関係しているんです」(沼田さん、以下同)

 高度成長期が終わりを告げ、日本の産業の主軸が製造業からサービス業へと転換していく中、新しいプロジェクトが生まれる過程で、結束を高める目的の会食や企業間の接待は頻繁に行われるようになった。

「それまで、日本でお酒を飲む場所といえばクラブやパブなど、洋風で敷居の高いお店しかありませんでしたが、1976年に弊社が始めた『パブ茶屋』という業態は内装が日本家屋的な大衆スタイルで、現在のいわゆる“居酒屋”の前身と言われています」(同)

 その5年後の1981年に大阪で1号店が生まれ、全国にチェーン展開を推し進めた「やぐら茶屋」。会食需要が膨れ上がっていた日本企業の受け皿になったのが、まさに居酒屋だった。同時に、「飲みニケーション」という言葉も日本中で重用されるようになる。

「当時のサラリーマンにとって、『飲みニケーション』は非常に便利な言葉だったんです。連日の接待続きで、ご家族に『また飲み会なの?』と言われた場合、『飲み会も仕事のうちである』という意味で『飲みニケーション』という言葉を使って、飲みに行く大義名分ができたのだと思います」(同)

 もちろん接待だけでなく、職場の士気、結束を高めるための社内の飲み会も「飲みニケーション」に含まれる。職場単位の飲み会が主流になっていき、受け皿である店舗側は大人数型宴会を取り込むべく、大型店化とチェーン店化を一気に加速していった。それが、80年代の居酒屋ブームだ。

「ここで登場するのは女性です。初期の『飲みニケーション』は男性サラリーマンだけを対象とする文化でしたが、女性の社会進出が進むとともに女性でも入りやすい店作りが重要視され、内装にこだわったり、メニューに甘いサワー系の飲み物を導入したりと、変化していきました」(同)

 さらに、90年代に入るとカラオケボックスが出現。こうして「一次会の居酒屋→二次会のカラオケボックス」という流れが生まれ、結果的に“朝までコース”が当たり前になっていったのだ。

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