CMから“料理を作る女性”が消えた? コンプライアンスを気にする広告の行方
#CM #ジェンダー
CMから、“料理を作る女性”の姿が消えつつあるという。その裏事情とは――。
「コンプライアンスを気にしているの一言に尽きますね。女性の社会進出が進み、共働き世帯が増えているいま、家父長的な“家事や育児は女性の仕事”という古い価値観を消費者に押し付けることには無理がある。女性が料理をしている姿が“当たり前”のように描かれているように見えてしまうと、『妻が料理することを当然と思うな』『男性も家事分担をするべき』といった反応が起こる可能性が高い」(広告代理店関係者)
そうしてみると「私作る人、ぼく食べる人」というハウス食品のCMが問題視されたのは、45年も前のこと。それからさらに半世紀が経った現在、社会状況はもちろん、家族の在り方も大きく変わった。
わかりやすさが求められるCMでも、画一的な“家族像”を描くことは難しく、家事や育児の描写はデリケートな問題として横たわっているようだ。今回は、家事を題材にしたCMを振り返りたい。
男性の家事は“お手伝い”?
まずは7年前に炎上した案件。2014年のヘーベルハウスのキャンペーン「家事ハラ」だ。
内容は、夫が“気を利かせて”家事を行うものの、妻の何気ない一言が立ちはだかるというもの。キッチンに立つ夫に対して、「お皿洗いありがとう。一応もう一度洗っとくね」「かくし味とかいらないからね」――そんな妻の一言に傷ついた夫の顔をバックに、「その一言が俺を『家事』から遠ざけた」というナレーションが入る。妻からの「家事ハラ」、すなわち「家事ハラスメント」によって、男性の家事参加が妨げられるというキャンペーンであった。
リリース当初から、「男性が家事を“手伝っている”感がムカつく」「傷ついたからって家事をやらなくなるのはどうなの」など、圧倒的な不評が寄せられて炎上し、あっという間に取り下げられることに。世の中の潮目を見誤ったことは間違いないが、そもそも「家事ハラ」とは、女性ばかりに家事や育児の負担が押し付けられている問題を指摘するワードで、これを誤用してキャンペーンに使用したこともマズかった。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事