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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 霜降りせいやVSウエストランド井口のが“ちんこ”バトル

霜降りせいやVSウエストランド井口のが“ちんこ”ラップバトル、地上波ギリの押韻が続出!

どこか「R-指定 VS DOTAMA」っぽい空気感も……

 IDが言う「必殺技」とは、芸人としてのせいやの引き出しだった。ラップ中に突如、せいやは武田鉄矢のモノマネをし始めた。

「お前はほんとに腐ったみかん お前のディス俺に効かん
 こいつはもうこの会場にいらん
 死ね! 普段こんな事言わないけど これは俺の贈る言葉です」

「死ね!」は、海援隊「母に捧げるバラード」にある語り部分の一節からのサンプリングだ。モノマネしながら押韻しているし、武田鉄矢のままビートに乗れているし、器用である。

 さらに、せいやは爆笑問題・太田光のモノマネへと突入した。

「どうも爆笑問題太田です お前に会うたことないよね
 お前ちんこちんこ言ってるけどよ 俺の相方田中はよ 金玉取ってんだよ」

「太田」と「会うた」で踏んでいるが、これが井口に火を点けた。直の後輩として看過できなかったか?

「『お前に会うた事ないです』? 太田さん埼玉の人 関西弁使わない
 モノマネできてねぇぞ 全然 粗が目立ってる
 太田さんに会った事あるに決まってんだろ 直属の先輩
 やってるぜ 光を当てるぜ 太田光
 太田光代社長にも良い報告をしなきゃいけない」

「うちの大先輩を粗くネタにしてくれるな」と、意地と敬意と嫉妬が入り交じった井口の対応が尊い。さらに、タイタン所属らしいカウンターが火を吹いた。

「お前なんでやってんだラップも 動機がよく分かんねぇ
僕の同期は日本エレキテル連合 お前のラップ ダメよダメダメ
 どうしようもねぇ おい とっとと消えちまえ」

「動機」と「同期」で踏んでおいてから、エレキテル連合を持ち出してのディス。展開が多彩だし、技術も高い。これは2本目は井口が取ったのでは……と思ったら、判定は2ラウンド目もせいやの勝利に! 太田モノマネへの対応が最高だった井口を勝ちにし、3ラウンドにもつれ込んでもよかったと思うのだが……。

 井口が今回良かったのは、SAMティーチャーの“押韻伝道師”っぽさがちゃんと出ていたところ。ただ、あまりにまとまりすぎでネタ感が滲み出ていたのも事実だ。即興ではなく、ネタラップの応酬になっていた感は否定できなかった。あと、彼にはもっとエグいディスを期待していたところもある。M-1では妬みと嫉みの偏見で終始していたのに、フリースタイルだと悪人になりきれず優しさが出てしまうのが歯痒かった。土壇場でバイブスが足りなかった井口。

 井口は、相手のディスに意味のある言葉で返すのがうまい。フリースタイルバトルではなく口喧嘩選手権のほうが本領を発揮できるタイプか? もし次があるのなら、彼はDOTAMAの指導を受けたら面白くなりそうな期待感がある。何にせよ、ワンサイドになるほどの差はなかった。

 一方、せいやの勝因は元も子もないが“華”だった。1回戦(VS mckj)の勝ちっぷりで会場はせいやの空気になっていたし、それをひっくり返すにはプラスαが必要だ。会場と審査員を味方にするパワーが凄まじいせいや。あと、かつて鎮座DOPENESSを完コピした彼だけに、戦い方も鎮座をオマージュしていた感があった。ディスの井口と構成のせいや、そんなバトルだった。

 あと、今回の井口 VS せいやが出色だった理由は、DOTAMA VS R-指定を思い出させる空気感があったから。ワードの鋭さや対応力等に優劣はほとんどない。強いて言えば、リズム感や抑揚といった天性の音楽力の差が決め手だったか?

 バトル終了後、ノーサイドなやり取りが交わされた2人のちんこ対決。最後の最後まで芸人の矜持を見た。

せいや 「2人とも、本当は仲間なんで。絆がありますんで、スキャンダルが出たっていう。やれて良かったですね?」
井口  「やれて良かった! やっと終われたよ、これで」
せいや 「ほんまにお笑いにできたということで。終わりということで、裁判所に向かいます」

 まだせいやは全然終われていないというオチ。このバトルが裁判で不利に働かないか不安だ。芸人同士のバトルらしく、ちゃんと面白さが付随していたのが良かった。どうも、これがなかなか難しいらしい。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/12/27 19:00
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