BTSファンの結束で聖地が守られる!? 海外が注目するKpop4Planetの戦闘力
#SDGs
K-POPファンであれば、「Kpop4Planet」という団体の名前を一度は耳にしたことがあるかもしれない。環境・気候問題解決のために世界のK-POPファンたちが集結・アクションする新しいプラットフォームだ。
Kpop4Planetは、インドネシアに住むファンのひとり・ヌルさんの書き込みから始まった。
ヌルさんは人気女性アイドルグループ・BLACKPINKのファンで、同グループが地球環境問題に対して積極的に活動する姿に感動。ファンたちも一緒に何かできないかと訴えた。それに応えたのは、イ・ダヨンさんら韓国のファンたち。意気投合し、Kpop4Planetを立ち上げるにいたったという。他の環境・気候保全団体とは異なり、Kpop4Planetのメンバーや参加者はMZ世代が中心だ。10代~20代がほとんどで、イさんの年齢も19歳だ。
Kpop4Planetの活動は多岐にわたる。例えば、BLACKPINKを広報大使に任命したインドネシアのEC大手・トコペディアに対しては、2030年までに再生エネルギーを100%使用すること、同社が発生させている炭素発生量のフットプリントを公開することなどを求める請願運動を行っている。およそ2000名以上のK-POPファンが参加したこの試みは成功し、現在、Kpop4Planetメンバーと企業が直接協議の席につく段階にいたったという。
また、今年9月にBTSのアルバムジャケット撮影地となった江原道の孟芳海岸近隣に、石炭火力発電所が建設されるのを防ぐための署名活動も行っている。こちらの拡散力は並々ならぬもので、韓国のアーミー(BTSのファン)たちの動きにタイのアーミーが呼応するなど韓国国内の問題が世界に広く知れ渡ることになった。
Kpop4Planetは、K-POPファンたちが抱える環境問題に対する悩みも吸い上げる役割を果たしている。例えば「アルバムとプラスチック問題」がそのひとつだ。20年に販売されたK-POPの年間アルバム数は約4200万枚、21年は9月までの段階で4300万枚に達している。同じアルバムが複数バージョン販売されるだけでなく、アルバムの中には、フォトカード、ファンサイン会の応募券なども含まれる。そのため、ファン1人で数百枚も購入するケースがある。
アルバムには「最も悪いプラスチック」と揶揄されるポリ塩化ビニル(PVC)やコーティング紙などが含まれておりリサイクルが容易ではない。ファンたちは、アルバムのためにゴミがたくさん出ることに、後ろめたさや罪悪感を感じており、掲示板には「地球、ごめんなさい」、「いっそアルバムを食用素材でつくれないのか」というようなコメントや提案が行き交っているという。
Kpop4Planetはこの悩みをキャンペーンに転換。現在、「No Kpop on a dead planet」(死んだ地球にK-POPはない)という標語ととものに、エンターテインメント企業に対して環境に優しい素材でアルバムをつくるよう働きかけているという。実際、この動きに対するアーティストや韓国芸能事務所は少なくなく、ここ数か月で環境に配慮したアルバム作品がいくつか実現している。
自らの消費行動を自省し、共通したカルチャーやアイコンを訴求力にパワーを集結させ企業や大人に働きかける、MZ世代を中心とした団体・プラットフォームは今後も増えるかもしれない。現在、K-POP ファンは世界に1億人ほどいるとされているが、世界的な潮流とも相まってKpop4Planetの戦闘力はさらに拡大しそうだ。
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