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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 元芸人が「M-1 2021」を全ネタレビュー

オズワルド伊藤のツッコミ技術の真髄を見た!元芸人が「M-1 2021」全ネタレビュー

インディアンスきむの、1年での仕上げぶりに驚き

9組目 インディアンス「心霊系の動画を撮ってみたい」

 ツッコミをしている人間で、このコンビが羨ましいと思う人は多いのではないだろうか。なぜならボケの田渕さんのように、次から次へとマシンガンのようにボケてくれる相方がいたら、楽しくて仕方がないはずだ。少なくとも元ツッコミの僕は、一度でいいから漫才をしてみたいと思った。

 3年連続で決勝進出をしているインディアンスだが、僕が初めてネタをちゃんと見たのも3年前のM-1グランプリで、その時の印象は「あっ、このボケの子はすでに完成している」というものだった。しかしそれは間違っていた。田渕さんはこの3年間でさらにパワーアップしている。

 マシンガンのようなボケは変わらないが、ボケの質、ボケの間、天丼、かぶせ等、あきらかに前年度よりクオリティが上がっている。それに対してツッコミのきむさんだが、審査員の皆さんはきむさんの成長によりインディアンスはさらに、良くなっていると絶賛していた。

 漫才というのはボケよりツッコミが大事で、ツッコミ次第でどうにでもなるもの。僕もこの1年でかなりきむさんは成長したと思った。

 ここからは憶測でしかないが、まず大ボケの後のツッコミをアドリブでつっこまなくなった。きちんとセリフを決めてツッコミ、そのあとの小ボケに対してもほとんどアドリブではつっこんでいないだろう。昨年思っていた彼の弱点はアドリブでボケられたときに、どうしても笑いながらつっこんでしまうというところだった。この笑いは面白いからではなく、アドリブでつっこむ事へ恥ずかしさや自信の無さから出る笑いだった。なので全体的にふわっとしたツッコミになっていた。それが今年はまったくと言っていいほど無くなっていたのだ。とてもネタが見やすくなった。

 マシンガンのようなボケに対して、マシンガンのようなツッコミはいらない。ただ要点をつくツッコミと喋りを封じようとするツッコミがあれば、ボケは負けじとボケていくように見えるが、お客さんから見るとアドリブで暴走しているように見えて、つっこみが困る姿で笑いが倍増していくのだ。

 ただ成長したきむさんだが、まだ足りない部分がある。

 それはネタのスタートのフリの部分だ。「最近趣味が出来た」「心霊動画を見る」など、こういうセリフはお客さんへいうセリフで、相方へいうセリフではない。フリのセリフを相方にいってしまうと2人だけの世界になってしまい、お客さんが入り込みづらいのだ。さらに田渕さんのように人の話を話半分しか聞いてないようなキャラクターに話すのは、お互いのキャラが死んでしまう。それなので、フリの部分は頑張って田渕さんを無視してでもお客さんにいうべきなのだ。

 ナイツの塙さんが絶賛したように、漫才の上手さは今大会ピカイチ。順当にファイナルステージへ進出した

ファイナルステージのネタは「売れて忙しくなりたい」

 これもファーストステージ同様、きむさんのストーリーに田渕さんがマシンガンボケで邪魔していくというスタイルだが、2つのネタで若干の違いがあった。それはファーストステージの肝試し的なネタはある程度の展開をお客さんが予想できる。ファイナルステージの忙しくなりたいは展開が予想しづらいという点だ。展開を予想できる方が、どれだけ邪魔されようが、早口で次の展開に進もうが追いつけるのだ。なのでずっとストーリーに集中できるのだが、予想しづらい方は置いていかれたらそのままになってしまうのだ。なのでベタでもいいからストーリーが予想できるネタであったら、最終的な投票が少し変わったかもしれない。

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