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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 元芸人が「M-1 2021」を全ネタレビュー

オズワルド伊藤のツッコミ技術の真髄を見た!元芸人が「M-1 2021」全ネタレビュー

オズワルドの1本目で伊藤が見せた極上のツッコミテクと2本目のミス

6組目 オズワルド「友達が欲しい」

 3年連続で決勝戦進出。ただ進出するのではなく、ネタに改良を重ねて、進化させ、そしてより面白さに磨きをかけて決勝へ進出。それだけに今年こそは、優勝をするのではないかと言われる、今大会の優勝候補だった。

 ネタはオズワルドクオリティとでもいおうか、各所に「静と動」を配置し、前回までには無かった細やかな部分の進化を感じる。

 まずはオズワルドならではの「静」でネタがスタートする。拍手が鳴りやむまで自己紹介すらしない。そして拍手が鳴りやむと漫才とは思えないほど普通の声でツッコミの伊藤さんが自己紹介をする。また拍手が鳴りやむとボケの畑中さんがフリをスタートさせる。登場してからここまで「静」。

 ひとつめのボケまで「静」が続くがオズワルドは、漫才ならではのテクニック、マイクを使って音量を補い、お客さんの声が聞こえないというストレスをなくしている。基本がしっかりしているという証拠だ。そしてひとつ目のボケを繰り出した瞬間、ツッコミの伊藤さんがギアをトップ近くまで入れて大声でリアクションとツッコミ。ここでいきなり「動」が発動するのだ。そしてまたしばらく「静」が続く。

 余談だが今回のオズワルドのネタで、伊藤さんの凄さを目の当たりにした部分があった。それはネタの序盤で、畑中さんがストーリーのメインとなっていくセリフ「今度きみの友達、俺にひとりくれないかな?」というセリフに対し、セリフにするのは難しい表現でリアクションをしたのだ。いうなれば「んん?」とうセリフなのだが、はっきりと「んん?」というわけではなく、本当に何とも言えないほど面白く、それしかないと思うくらい秀逸なひとことなのだ。こんなセリフで笑いが起きるなんて、ツッコミ冥利につきるだろう。

 話しを戻そう。後半になるにつれ「静と動」は「動」にシフトチェンジしていき、オズワルドならではのボケとツッコミがニコイチになった笑いを爆発させていく。後半に「静」は見当たらない。つまりネタ自体を大きなくくりで見たときも、「静と動」になっているのだ。

 オズワルドは合計点数665点を叩き出し、トップでファイナルステージへ進出。

ファイナルステージ「割り込みされたおじさんについて」

 畑中さんがラーメン屋さんに並んでいる時に、割り込みされたおじさんをどうすべきかというネタなんだが、あきらかにファーストステージの方がネタのクオリティが高かった。もちろんネタ自体はファーストステージと同様に「静と動」で作ってはいるのだが、ファーストステージはしゃべくり漫才、ファイナルステージは動きのある漫才となっており、少しジャンルが違う漫才になってしまった。

 オズワルドの真骨頂は「東京しゃべくり漫才」。ほとんど動くことなくボケとツッコミを展開していくのが一番似合っているのだが、なぜかファイナルステージは少し動きを入れてしまった。残念ながら、決勝の相手は【錦鯉】と【インディアンス】。どちらも動きを得意とする漫才師だ。動かずしゃべくりだけで戦うことを選択したら、まだ勝機はあったかもしれない。

 派手な漫才との戦いに、自分たちも派手にしようと思った結果なのだろうか。

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