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米倉涼子の絶叫がムカつく!?なぜ貴乃花を起用?2021年不快なCM総決算

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米倉涼子(写真/Getty Imagesより)

 テレビがメディアの中心であったのは今は昔。とはいえ、ネット上で未だに話題になる「嫌いなCM」の数々。本稿では、いかなる理由によって嫌われているのかを、CM業界の目線から考察していきたい。

 まず挙げられたのが、大量の出稿量によってお茶の間でおなじみとなった楽天モバイルだ。出演者は米倉涼子ほか。

 ド派手なピンク色の画面に立つ米倉の「日本の携帯代は高すぎる!」という絶叫に、「とにかくうるさい」「ハズキルーペのパクリじゃねえか」など批判的な言葉が並ぶ。ともあれ、楽天モバイルは本テレビCMが放送以降、他社からの乗り換え数が各携帯電話会社に比べて一位となるなど、十分な成果があげられているようだ。

「商品の優位性をシンプルに説明するCMの手法は『ストレートトーク』と言われ、海外では一般的な手法。例えば日本でも見られるtrivagoのCMなどが代表と言えるでしょう。とはいえ、日本のCMはドラマものが好まれるということもあり、商品の優位性のみをアピールする楽天モバイルのCMは下品に見られがちだと思われます」(CMディレクター)

 Softbankの白戸家、auの三太郎を始めとしてキャラクターによるドラマものが優勢である携帯会社のテレビCMにおいて、楽天モバイルは露骨すぎるということだろうか。

 次は、競艇の公営団体(BOAT RACE振興会)による「DYNAMITE BOAT RACE~ボートレーサーになりたい~」である。

 本CMには「寒すぎる」「所詮ギャンブルなのにいい話風に描いているのが、ムカつく」などのコメントがネット上に並ぶ。ボートレーサーを志す、若者と厳しい教官が織りなす青春譚。若手俳優の芋生悠と神尾楓珠がW主演し、教官役はお笑い芸人の飯尾和樹がつとめている。

「やはり主演の知名度の足りなさはあるでしょうね。今後ブレイクするポテンシャルはあるけど、まだ代表作のない若手俳優を先んじて起用し、このCMをもってブレイクの取っ掛かりを作るというのが、ひとつ狙いだったのでしょう。ただ、それが裏目に出て知名度がないので視聴者がいまひとつ感情移入できなかったんでしょうね。あとはCM監督の技量不足も伺えます。東北新社の社長である中島信也氏の一番弟子としても知られる、東京芸大出身の麻王氏が演出をつとめましたが、本格的なドラマものは彼にとっても初。引き出しの少なさ役者の演技の薄さは、演出の責任であることも間違いありません」(前出・CMディレクター)

 同じ公営ギャンブル競技でありながら、ネット上で好意的に受け取られるJRAのCMには松坂桃李、葵わかななど一線級の俳優が出演中。タレントのわかりやすさがすなわち、CMの好感/反感につながったということか?

 最後に紹介するのは、ふるさと納税サイト「ふるなび」。小売店を営む元貴乃花親方・貴乃花光司氏と、ペットのインコのやりとりが織りなすシンプルなギャグCMだが、ネット上では「ギャグが滑っている」「なぜ貴乃花」といった冷淡な声があがっている。

「貴乃花氏の起用は業界目線でいえば、秀逸。他企業のテレビCMにはほとんど出演しておらず鮮度がある一方で、ギャラが年契・約700万円程度(推定)と安い。息子である花田優一が定期的にスキャンダルがあがることで、貴乃花の知名度も担保されるため、全体を通してコスパがいいと言えるでしょう。会話劇が『寒い』というのはそのとおりですが、役者でもタレントでもない貴乃花の演技力を考えると、健闘していると言えるでしょう」(広告会社プロデューサー)

 たとえ、不快とされていても、インパクトが重要視されるテレビCMではある種成功しているとも考えられるのだろう。

加藤マサキヨ(CMディレクター)

1988年生まれ。広告、IT業界に精通。週末はアイドル鑑賞で目を労り、サウナで汗を流す。

かとうまさきよ

最終更新:2021/12/31 11:00
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