韓国アイドルの劣悪な労働環境 整形強要、違約金約6000万円、トップアイドルも自殺
#韓国
日本でここ数年大人気となっているオーディション番組。韓国では数年前から、新人アイドルを発掘するオーディション番組やプロデュース番組が洪水のように溢れ、猫も杓子も状態の社会現象となっている。BTSなど世界的に有名なアイドルを頂点に置く韓国芸能界で、「いつか自分たちも大成功したい」という若者は後を絶たない。しかも、国内の若者のみならずアジア各地や日本からもこれらオーディション番組を受けたり、現地の芸能事務所に所属し活動する“アイドル候補生”も多い。
そんな韓国で近年、改めて問題視されているのが、芸能人の卵や明日のトップスターを夢見るアイドル候補生たちの劣悪な“労働環境”と人権侵害だ。精神的健康や人権を侵害され、トップアイドルですら自殺するという報道がたびたび報じられているが、メディアや世論からの攻撃を受けてもなお業界内の自浄作用は働いていない。
韓国・大手メディアの一角である京郷新聞に告発したJさん(女性)は、次のような経験をしたという。Jさんは2019年にデビューしたあるアイドルグルーブのメンバーだったが、その実体験からは学習権、健康権、安全権、労働権など、本来享受すべき基本的人権すべてを奪われた様子が浮かびあがってくる。
Jさんが所属したのは韓国によくある小規模芸能事務所だった。正式な契約を終え、デビューはしたものの、事務所側は約束を守らず一切のマネジメント業務を放棄。現場には、マネージャーもコーディネーターもいなかった。PV撮影時やイベント時には、衣装の提供すらない。女性メンバーだけで住む宿舎には施錠すらされておらず、常に不安にさいなまれたという。一切のマネジメントはしないものの、芸能事務所の監視と統制は徹底していた。芸能事務所の代表はカカオトークの返信が数分でも遅れると、「解散させる」と威圧。成人していたのにもかかわらず、お酒や恋愛などを一切禁じた。活動中にケガをしても病院にも連れていってもらえなかったという。
そんなマネジメントがないグループ内ではついにいじめが発生。Jさんはその暴言や暴行の対象になってしまった。さらに、その様子を知った芸能事務所の社長は、他メンバーを罰することなく、Jさんに「慰めてやる」とセクハラまで行う始末だった。Jさんは、そんな新人アイドル生活が原因で、うつ病、不眠症、パニック障害を抱えてしまった。
一方、元練習生Mさんは、8年間にわたり芸能事務所から「一度もトレーニングを受けることがなかった」と証言している。Mさんが所属していた芸能事務所 A社では、「人生講義」という名目で事務所代表の説教だけが繰り返された。
Mさんによれば、「代表は本人が大学で講義をやればば、1時間当たり100万ウォンもらえる」とし、メンバーたちに1時間当たり100万ウォンずつ授業料を返済するよう強制したという。冗談のような話だが、代表は毎月、講義時間と授業料が記された書類を差し出しサインまでさせたという。後にデビューした後、稼いだギャラから差し引くというのだ。
ほかにも、SNSのアカウントを開設しただけで「事務所は許諾していない。損害賠償を払え」と脅された練習生もいるという。また、整形を強要し1カ月で10キロ痩せろと怒鳴り、毎朝、服を脱いだ写真を撮影して報告させてもいた。そして、Mさんが事務所を辞めたいと切り出すと、投資金や違約金という名目で約6000万円を要求したという。
少し話の角度は変わるが、オーディション番組を取り巻いたトラブルもある。先頃、「ストリート・ウーマン・ファイター」という番組で、ある出演者が怪我をした。それに対し、優勝チームのリーダーが賞金でその治療費を出すと公言する。これに対して、韓国の大衆文化芸術人人権団体が声明を発表。「オーディション番組参加者の労災に関する権利が死角地帯に置かれている」とし、基本的な権利を保障し対策を用意するよう放送局と政府に要求した。
「撮影中に発生した負傷を労災(保険など)ではなく、個人の賞金で解決するオーディション番組の慣行は、オーディション参加者の権利が非常に劣悪だという事実を示す事例」というのがその理由だ。
たしかに言われてみればその通りである。番組に出演させて怪我をしたならば、放送局側がまず何かしらの対策を講じるべきだ。しかし、友情やリーダーシップという“きれいごと”を利用し、“大人の責任”を放棄している。上述の元アイドルや実習生の体験も、夢や未来をエサに、大人たちがただただ若者を食い物にしたという話であり、どこか体質として共通点がある。なお、このような実例は書ききれないほど数多く報じられている。
韓国芸能界は「それは一部の事例だ」と否定するかもしれない。ただ、YGなど大手事務所では、トップアイドルが相次いで逮捕されている。体質がそのまま受け継がれた結果である。
韓国でアイドルを目指す日本の若者たちには、しっかりとそのような体質があることを理解し、芸能事務所をしっかりと選ぶこと、もしくは自分たちの未来をしっかり選択してほしいものである。
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