錦鯉・渡辺隆「M-1に向けてという感じじゃなかった」絶望と諦めの向こう側にある光
#M-1 #錦鯉
「わかりやすい成功を望んでいない」のわけは…?
ーー錦鯉さんがすごいなと思うのは、その「伝わる」の範囲がすごく広いことなんだと思います。ある一部を刺しに行く……みたいな感じじゃない。幅広い年齢層のお客さんが錦鯉さんのもとに集まってくるっていうイメージ。
渡辺 そんなぼくらは難しいことはやってないですからね。三手先ないですからね。一、二でやってますから。
ーー小峠さんもザコシショウさんも、渡辺さんを「オールマイティ―な芸人」だとおっしゃいます。今の錦鯉のスタイルについて、俺のやりたい笑いは本当はこれじゃないみたいな、葛藤を覚えたことは?
渡辺 雅紀さんとコンビを組んでからはないですね。34歳くらいでした。とりあえずお客さんを笑わせたいという気持ちの方が強いんで。どう思われるかというよりそっちの方が大事になってきました。それは相方が雅紀さんだったからかもしれない。その影響をかなり受けてます。もともと二人ともどう見られてもいいみたいな感じでしたが、雅紀さんと組んでからよりその気持ちが強くなったかもしれないですね
ーー本の中でも「他人の目を気にしない」って書かれてますよね。それ最強すぎますね。
渡辺 いやある意味よくねぇなって思いますけど(笑)。どっちか他人の目を気にして気をつけろよって思います。
ーー他人の目を気にしないお二人なんだけど、二人とも前にガンガン出るタイプではないというのも面白い。確かにキャラ的にはグイグイでも違和感なさそうだけど、すごくちょうどよく引く。
渡辺 おじさんだから億劫みたいなのもちょっとありますけどね。そこも気まぐれなんですよね、あの人。行くときはいってるんですけど、どこにいるかわかんない時とかもありますから。
気配を消してるんで。僕は基本的にそんなに前に出ないです。演者が向いてるとは思ってないんで、自分が。今も雅紀さんに注意してるだけですから。一回もつっこんだことないですからね。
「だめだよ」って注意してるだけ。
ーー結婚も望んでないし、わかりやすい成功みたいなものもあまり望んでいないというのも本を読んでいて印象的でした。
渡辺 何も考えていないだけなんですけどね。今までも行き当たりばったりで二人とも生きてきましたんで。計画立てて生きてたらこうなってないだろなと思ってます。
ーー将来に漠然とした不安を感じたことは?
渡辺 全身も痛いですし独り身ですし(笑)。ただ見えない不安について考えることはあんまりないかな。どうせ死ぬし……みたいな考え方で生きていますので。不安に思う方がめんどくさいって思っちゃう感じかも。痛風でも酒飲んじゃいますしね。
ーー痛風ってどう出てくるんですか?
渡辺 発作に近いですね。
ーーいつくるかわからないんですか?
渡辺 予兆はあります。あれ? っていう。今日は風が強いぞ、みたいな。
ーー相方さんも自然ですし、風を読む力が求められる。
渡辺 捉え方、考え方ひとつ変えたら常にサバイバル生活してるようなものですからね。
ーーサバイバルに大切なのは「諦める」ということなのかもしれないと、お話を伺っていて思いました。言葉の意味としては矛盾していますが。
渡辺 対処できるものはしますけど、できねーもんはできねーやという感じですよね。
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