「この時代のスタイルは俺たちで完成させたい」 シシガシラと大コンプラ時代の新しい“ハゲ漫才”
#お笑い #インタビュー #シシガシラ
お笑い界において「外見いじり」や「容姿ネタ」を取り巻く風潮は、ここ数年で大きな潮目を迎えている。コンプライアンスやポリティカル・コレクトネスの観点から、「デブ」、「チビ」、そして「ハゲ」──こうした身体的特徴を使った芸人のネタに向けられる世間の目も変わりつつある。
そんな時代に「ハゲ漫才」と向き合い続けているコンビが、シシガシラだ。これまでとは異なるアプローチで「ハゲ」を笑いに昇華する彼らは、しずる・村上純から「インテリジェンスが漂う新しいハゲ漫才」、東京03・飯塚悟志から「今までのハゲいじりとはちがう」と評されるなど、同業者からの呼び声も高い。
そんなシシガシラの浜中英昌さん、脇田浩幸さんにインタビューを行い、「今、お笑い芸人として容姿ネタとどう向き合うか?」について一緒に考えた。
ハゲながら生活する中で直面する、世の中のおかしなこと
──まず率直に、「容姿ネタとどう向き合うか」というテーマで取材が来たことについて、どう思われたでしょうか。
浜中英昌さん(以下、浜中):(脇田を見ながら)……ハゲてますかねえ……?
脇田浩幸さん(以下、脇田):いや、ハゲてることは間違いないよ! それだともう取材終わっちゃうから(笑)! でも、最近は賞レースとかで自分たちの容姿を扱ったネタをやる芸人が前よりも減っているなという感覚はありますね。
浜中:そうだね。容姿ネタの中でも特に「ハゲ」でやっている芸人って、前と比べると少なくなってるかもしれない。
──「ハゲネタ」はお笑いだと古典的な切り口ですし、これまで「ハゲ漫才」をやってきたコンビも少なくなかったと思うのですが、シシガシラさんのスタイルは「新しいハゲ漫才」と評されています。自分たちのどういったところが「新しい」と言われるゆえんだと思いますか?
脇田:まず、今まで他のコンビが「ハゲ漫才」でやってきたことは、わざわざ僕らが今やる必要はないよなという気持ちはあって。それ以外の切り口でとなると、僕自身がハゲながら生活する中で気づいた世の中のおかしなことをネタにしたりと、「ハゲ」という素材そのものじゃなくて、ハゲに何かしら肉づけをした内容の漫才になっていったところはあります。
浜中:ハゲに直線的に向かっていくというよりは、いろんな要素の中に「ハゲ」があるっていうネタの作り方をしているので、そういうところが「新しい」と言っていただけているのかもしれないですね。
──ハゲながら生活する中で直面する、世の中のおかしなことというのは、シシガシラさんのネタ『放送禁止用語』にわかりやすく盛り込まれていますよね。今、世間には「差別的だ」としてタブーになったさまざまなワードや話題があるのに、「ハゲ」と言うのはなぜ見過ごされているのか!? という視点は、風刺的で。
浜中:ありがとうございます。でも、風刺だけでいこうとすると、なかなかネタ作りも難しくなってしまうところがあって(笑)。
脇田:僕らは2人で話し合いながらネタを作っていくスタイルをとっているんです。僕が「最近こういうことがあったんだけど、どう思う?」と話を振って、浜中がそれに返していくうちにアイデアが広がっていくというか。ハゲている僕からすると普通なのに、ハゲてない人からすると「え?」って思うこともあるみたいなので、そこがポイントになるんですよね。
例えば、ウチにはシャンプーがあるわけないじゃないですか、ハゲてたら使わないから。なので誰かが泊まりに来るってなったときは「ウチ、シャンプーないから用意してね」って言うんですけど、必ず「え!?」って驚かれる。
浜中:一瞬「え!?」ってなるけど、よくよく考えてみればそりゃそうか、っていうことが多いんですよ。そういう現実的な出来事がネタになっていくんですね。シシガシラには、「ハゲている人がハゲについて考える」ネタと、「ハゲていない人がハゲについて考える」ネタの2パターンがあって。前者は脇田さん、後者は僕がそれぞれアイデアの出発点になっているんですよ。
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