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『チコちゃんに叱られる!』がハンコの必要性を訴えるも、やっぱり不要としか思えず

『チコちゃんに叱られる!』がハンコの必要性を訴えるも、やっぱり不要としか思えずの画像1
『チコちゃんに叱られる!』(NHK)

 12月3日放送『チコちゃんに叱られる!』(NHK)のゲストは、中村勘九郎とキムラ緑子の2人であった。キムラのことを“キム姉”と紹介するチコちゃんだが、そんな自分(チコちゃんの中の人)だってキム兄じゃないの! 今回は、キム兄とキム姉のコラボ。というか、NHKの緑子好きは異常だ。

危険なのに生卵をゴクゴク飲んでたシルベスター・スタローン

 この日最初に出題された質問は、「白い卵と茶色い卵ってなにが違うの?」であった。筆者が子どもの頃は白い卵ばかりだったが、今は茶色い卵もよく見る。あの色違いの理由は、餌が違うから? それとも、品種の違い? 売れるからわざと茶色にしている? チコちゃんが発表した答えは「卵を産む鶏の種類の違い」であった。おい、そのまんまじゃねえか! つまんねー答えだなー(チコちゃんばりに)。なぜ、これをわざわざ問題にしたのか?

 茶色い卵のほうが栄養がありそうだと感じる人は多い。でも、あくまで鶏の種類の違いであって、中身の栄養とはまったく無関係である。一般的に羽が白い鶏は白い卵を、羽が茶色い鶏は茶色い卵を産む傾向にある。ただ、例外もいる。「白色プリマスロック」という鶏は白い羽だけど茶色い卵を産むし、「アローカナ」という白い鶏は青い卵を産む。このように、鶏の種類によって卵の殻の色は決まっているのだ。

 それにしても、なぜ我々は卵の殻の色を気にするのか? 実は、海外では卵を紙の箱に入れて売ることが多い。一方、日本はほとんどが透明パックだ。日本は海外と違い生食文化があるので、実際に卵が割れてないか吟味する傾向にあるのが理由。映画『ロッキー』でシルベスター・スタローンがゴクゴク生卵を飲んでいたけど、高度な安全管理を行う日本と違い、欧米で生卵を口にすることはかなり高リスクだった。だから、逆説的に「強くなるためにそこまでやるのか!」と強いインパクトを残すシーンになったのだ。「生卵を飲むならギャラを増やしてくれ」とスタローンがゴネた、という逸話もあるくらいである。

 話を元に戻すと、現在流通している透明パックはもともと日本で生まれたものである。透明パックを開発したのは、大阪にあるプラスチック容器メーカー「エフピコダイヤフーズ(旧:ダイヤフーズ)」だ。昭和40年頃、当時贅沢品だった卵は1個ずつ吟味をするために対面で売られていた。そして、買った後は新聞紙に包むか、おがくずを敷き詰めた箱に入れて持ち帰った。その後、高度経済成長と共にスーパーマーケットが登場。同時に、卵にも大量販売のニーズが高まったのだ。

 この頃、神戸のスーパーマーケットからダイヤフーズへ「卵を大量に積み上げて陳列したい」と電話がかかってきた。そこで同社が目を付けたのは、アメリカの進駐軍が使っていた紙製の容器である。この容器からインスパイアを受け、紙製卵パックを開発した同社はスーパーへ卸すことに。ところが、このパックのウケが悪かった。それまでは見える状態で卵が売られていたため、中身が見えない紙製卵パックは消費者に受け入れられなかったのだ。確かに割れていたりヒビが入っている可能性があるし、ちゃんと見て確認したい。ただ、最近は紙パックも増えてきた。何だったら、今は紙パックのほうが高級っぽく感じられる。皮肉なものだ。小泉進次郎が環境大臣を続けていたら、卵パックは全部紙製に変えられていたかもしれない。

 続いて、ダイヤフーズが製作したのは新素材塩化ビニールを用いた透明な卵パックだった。ところが、今度は中身が見えても衝撃で卵が割れるという問題が発生する。途方に暮れる開発者の目に飛び込んできたのは、吹き上げパイプ(パイプをくわえてボールを浮かすおもちゃ)で遊ぶ子どもの姿だった。「卵を宙吊りにしておけば衝撃が当たらず、卵が割れないのでは?」というアイデアを思いついたのだ。そして、卵を入れる部分を八角すいにしたパックが誕生! 卵が浮いているため、多少の衝撃ではびくともしない仕様だ。つまり、数週前に放送された「カップの中で浮くカップ麺」と同じ発想である。

 大量に積み重ねられ、中身が見え、中身の割れない新時代の卵パックはこうして完成した。現在も同方式のパックが重宝されているということは、もうこれが完成形なのだろう。めでたし、めでたし……って、話が逸れてないですか!? 卵の色について問う問題だったのに、いつの間にか卵パックの話になってしまっている。

 卵の色違いの理由は?→卵を産む親鳥の種類による→紙パックにすると卵が売れなくなった→プラスチックのパックを開発……って、どこに着地点を求めているの!? すごい動線だ。卵の話をもっと聞きたかったのに!

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