『イカゲーム』密輸で銃殺の衝撃! 北朝鮮顔負けのディストピアVOD配信作ベスト3
#U-NEXT #イカゲーム
フィクションで警鐘を鳴らす実社会の危うさ
監督のジョン・カーペンターは80年代のレーガノミクスにより拡大した消費社会、テレビ広告を批判する意図で、市民を目覚めさせるために同作は制作された。『マトリックス』が管理社会からの目覚めを促すように。
ただこちらは目覚めの手段がサングラスをかけるという手段なのだ。ネイダが目覚めようとしないフランクに「サングラスかけろよ!」と強要し、「やなこった!」と反発されたため2人が掴みあいのケンカをする場面は、6分にも及ぶ(体感時間は15分ぐらいするけど)。ネイダ役のロディ・パイパーがプロレスラーなので、バックドロップやスープレックスが繰り出される異種格闘技戦はこの映画をカルトの地位に高めた(高めたっていうのかこれは……)。
サングラスをかけろ! 消費社会に消費されるな!
そしてさっきから何度も引用している『マトリックス』(1999)である。90~2000年代におけるディストピア映画の頂点。
遅刻ばかりで毎日上司に怒られているぐうたら社員のアンダーソン(キアヌ・リーブス)は日常ではダメ人間だが、ネット上では天才ハッカーのネオとして崇められていた(この辺のトホホ感漂う人物設定が素晴らしい)。
あまりに冴えない現実を生きているので、「この世界は現実ではなく夢ではないか」と思うようになったアンダーソンはトリニティという美女に出会い「あなたはこの世界を救う救世主だ」と告げられる。
この世界はコンピューターにより支配されており、現実だと思っている日常は機械に接続され見させられている仮想現実に過ぎない! 世界中の人間はこの管理社会から目覚めなければならない……。
僕もどうしてお金が儲からないんだろうとか、どうして毎日やる気が起きないんだろうとか、どうして彼女がいないんだろうとか悩んでましたけど、そうかこの世界はマトリックスによって支配されている仮想現実だったんだ! 本当は人類を救う救世主なんだって1999年の時に思ってましたよ、ええ。
この世に革命を起こすんだと期待した『マトリックス』はシリーズ化した途端、革命から程遠い展開になり、マトリックスに取り込まれることを良しとするような終わり方になって残念。まもなく公開される『マトリックス レザレクションズ』で今度こそ、革命を起こしてくれることに期待する。
目覚めろ! この世界は現実ではない!
……と管理社会の真実を訴えてきましたが、冒頭の話に戻ると……密輸された動画をこっそり見た北朝鮮の学生は終身刑、一緒に視聴した同級生は5年間の重労働が課せられるという。ああ、『イカゲーム』のように一攫千金のチャンスすらない北朝鮮! こちらはノンフィクションだもんなあ。ホント、ディストピアは映画の中だけにしてください。
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