溝口健二『祇園の姉妹』戦前から現在にも通ずる女性の悲痛な叫びを描いた一作
#映画 #キネマ旬報
皆さんこんばんは、宮下かな子です。
隔週で配信しておりますこの連載、なんと今回で1周年を迎えました!読んでくださいまして本当にありがとうございます。
キネマ旬報ベスト・テン第1位の作品から選出するという決め事を作り、今回で26作品を紹介してまいりましたが、エンタメ要素よりは社会性の強い重厚な作品が多いため、「きゅんきゅんする韓ドラ観たいよ~」なんて思いながら毎回頭を抱えて文章を練っております。今後、もう少し自由に作品を選べたらとは思いながらも、普段自分では選ばない作品を鑑賞できたり、書くために何度も観ることで作品の理解を深められたりと、私自身の視野を広げるきっかけとなってくれています。
実は先日も、以前連載で取り上げた作品のスタッフの方と偶然お会いし、その作品についてお話する機会があったんです。普段口下手な私ですが、文章を書くために深く作品について考えたからこそ思い切ってお話できたので、自分の自信に繋がっているなぁと実感でき、嬉しかった出来事でした。
文章と共にイラストも描かせて頂いていますが、描くことでの発見も本当に沢山あって。特に毎回感心するのが、タイトルのデザイン。お気付きの方、いらっしゃるでしょうか? 実は毎回、映画のタイトルデザインは必ず真似をして描くようにしているんです。それを描きながら、「この字の丸みが作品全体の優しさを感じるんだなぁ」だとか、「このかすれ具合はきっとあえてこうしているんだ」とか発見があって。映画のテーマにぴったりの字体に、細部にまでこだわるスタッフさんの技術と心を感じ、毎回感動します。
これはきっと真似をして毎回描いているからこそ感じられたこと。おかげで、そういった美術の細部にまで意識を持てるようになったんじゃないかなぁと思います。趣味で始めたデジタルイラストでしたが、こうしてお仕事として定期的に描かせて頂けるって、本当に本当に嬉しいことです。
皆さんに作品を紹介し興味を持って頂くことが大前提ですが、書いている私自身も得るものが沢山。本当に、心から感謝しております! 文章の濃度も画力も読者数も、今後もどんどん伸ばしながら、私自身もレベルアップしていけるよう努めますので、皆さん今後もどうぞよろしくお願い致します。
さて今回は、初心に戻りましてテンポ感のあるモノクロ作品をご紹介出来たらと思い、溝口健二監督『祇園の姉妹』(1936年松竹)を選びました! 小津、成瀬、黒澤、溝口、と黄金世代の四大監督としてその名を並べる溝口監督、取り上げるのは今回初めてですね。女性を描く名手と言われておりますが、さてどんな姉妹の姿を描いているのでしょうか、ご紹介していこうと思います。
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