男性版モナ・リザが13万円から510億円?映画『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』
#ドキュメンタリー映画
絵画(アート)の世界は面白い。そのことを「一時は13万円で落札された絵に510億円の値がつけられる」衝撃の事実から教えてくれるのが、2021年11月26日より公開されているドキュメンタリー映画『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』である。
天文学的な値段で売り買いが行われる絵画は、言うまでもなく一般市民には手が出せない存在であるし、そもそも興味がないという方もいるだろう。だが、本作は絵画や美術界について詳しくない人でも問題なく楽しめる、劇中で起こる出来事そのものがエンターテインメントになっている、実は万人におすすめできる内容でもあったのだ。さらなる魅力を記していこう。
「真作か贋作か」をめぐるミステリーの面白さ
2017年、レオナルド ・ダ・ヴィンチの最後の絵とされる「サルバトール・ムンディ」=通称「男性版モナ・リザ」が史上最⾼額となる510億円で落札された。だが、それは本当にダ・ヴィンチの真作(偽物・贋作ではない)だったのか……?その謎を、ジャーナリストや美術商などの有識者のインタビューから紐解いていく。
ニューヨークの美術商が、名も無き競売会社のカタログに掲載されたその絵を落札した2005年時点での価格はたったの13万円だった。だが、さまざまな憶測を呼びつつもその絵は次第に「ダ・ヴィンチの作品」として見られるようになり、莫大な金額が動くことに目をつけた連中がうじゃうじゃと集まることになる。
その「真作か贋作か」という判断の材料そのものが、わかりやすく描かれている。例えば、「背景の塗り重ねた部分を洗浄すると、なぜか親指がもう一本現れる」というとんでもない事実が提示されたりするのだ。
素人目でもこれは怪しいと思うわけだが、それでもダ・ヴィンチの作品であるという説明はつけられる。それ以外にも「工房の弟子が描いていたのかもしれない」「この絵に来歴はないから目で見て確認するしかない。優れた絵にはオーラがある」「X線による科学的分析」など多数の検証が行われ、果ては専門家ではない「絵を観に来た一般人」に決めさせようとする様までも描かれる。
人によって真っ二つと言っていいほどに意見が分かれる絵画をめぐる思惑や混乱は、それ自体がミステリーのようで面白い。まさに「事実は小説より奇なり」を体現したような話であり、中でも(映画の冒頭部で提示されているし公式サイトにも記されているが)この絵が現時点でどういうことになっているのか、とわかる顛末には驚きを禁じ得ないだろう。まずは「ええっ!?本当にそんなことがあるの?」という衝撃と面白さを期待してほしい。
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