もともと添乗員は男性だった! 修学旅行ほか「団体旅行」の知られざる歴史と進化
#文化 #旅行
今や少人数の旅行が中心に見えるが……
──60年代くらいまでは旅行自体も、それに付随する諸々の手配も体力勝負だったこともあって、添乗員もほぼ男性だったそうですね。現在のように「添乗員といえば女性」に変化したのは、交通手段が安全・快適になって旅がラクになったこと、女性が働く主体と消費主体になって旅の女性客が増加したこととパラレルの現象だったと。
山本 もともと旅行会社にとって「添乗」というものは、団体旅行の営業担当による「旅に付随する諸々を提供しますよ」というビフォアサービスであり、アフターサービスだったんですね。
それが、旅行需要が増加するにしたがって、営業職の人間が添乗で出かけてしまうと、その間は営業担当者が留守になって業務に支障が生じる──かつては携帯電話もありませんから、その人が会社にいないと連絡が取れなくなってしまう──ということで、営業から添乗の仕事を分離するようになった。そこから添乗のスペシャリストを養成する動きが活発化し、旅行形態の多様化とともに、男性だけでなく女性の添乗員も必要とされるようになってきた。女性の添乗員は、1972年に近畿日本ツーリストが海外旅行向けに「ホリデイガール」と称して女性添乗員を養成したのが最初でした。
──旅が安全で快適なものになり、旅券や宿泊施設の手配が簡単になると、旅行は団体中心のものから、今日そうであるように少人数中心のものになっていきました。
山本 しかし、実は宿泊予約にしろ、列車や飛行機のチケットにしろ、団体旅行で培われたノウハウが個人旅行にも応用されています。例えば、パッケージ旅行は旅行形態の上では「個人旅行」ですが、団体旅行用に作られた宿泊予約や交通チケット手配のシステムが利用されています。利用者の多くが「個人で旅行を手配している」気になっているインターネット予約でも、実際にはインターネット上の旅行会社によって管理されている。そういう意味で団体旅行の歴史は、その後の少人数主体の旅行にまでつながっています。
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