〈dj honda×ill-bosstino〉互いのプライドがぶつかり合う「混ぜるな危険」の行き着いた先
#ILL-BOSSTINO
改めて感じた「dj honda、やっぱすげえ」
――この曲の後半で〈dj honda、DJ KRUSH〉と2人の名前を並べて出したのは?
BOSS hondaさんはアメリカに定住して結果を出し、KRUSHさんは日本にいながら世界を自由に回って結果出している。両者生き方は違うんだけど、その2人が俺にとって良い先輩だなって感じで。
――KRUSHさんとhondaさんを見ていて、2人の決定的な違いってありますか?
BOSS どうかな……KRUSHさんも今リアルタイムでビートを作っているだろうし、hondaさんも同じようにビートを作っている、って意味では同じかなと思う。性格は俺の印象だけど全然違うし、雰囲気も違うけど、2人とも結果を出して、音楽で生活できている。でも、止まらずに常に音楽を作り続けている。
――アルバムの1曲目から7曲目までずっと〈dj honda〉であったり〈小文字のh〉のようにhondaさんの名前がリリックに出ていますが、8曲目「CAUSE I’M BLACK」以降は急に少なくなりますが、何か理由は?
BOSS アルバムの前半はわりと強靭でハードな曲が多いんだけど、後半は今の心境のリリックというか、THA BLUE HERBの5枚目(アルバム『THA BLUE HERB』)やコロナ禍だったりの延長の心情が入ってきていると思う。「GOOD VIBES ONLY」や「SEE YOU THERE」あたりは、「hondaさんと曲を作れている」という高揚感みたいなものはもう超えて、今の時代に合った良い曲を作る、という意識に向いていたと思う。
――後半部分で言うと、「KEEP WHAT YOU GOT」から「SEE YOU THERE」、「GOOD VIBES ONLY」の流れもすごく好きで。もちろんメッセージとしていろんな要素があり、現状を冷静に見ている部分もあるけど、すごく明るくてポジティブで。この後半のトーンは、BOSS自身の今の願いでもあるんですかね?
BOSS かもしれないね。俺自身が表現したいことが、この心情っていうかね。
――最後の「STRONG ENOUGH」で締める流れも良くて。あと、今回もまた70分以上、CD1枚にギリギリ入るボリュームで。
BOSS 多分、行けばいくらでも作れるけど、もう入らないからここで一回止めておこう。ただそれだけだね。
――hondaさんはDJ/プロデューサーで、BOSSはラッパーであって、お互い立場は違いますが、BOSSが日本のヒップホップシーンに憤りを感じてサヴァイブしていたときに、hondaさんはアメリカでメジャーとディールして、海外のアーティストと一緒にアルバムを作っていた。今回一緒にアルバムを制作したことで、改めてキャリアの違いは感じましたか?
BOSS 改めて「dj honda、やっぱすげえ」って思った。一方で、俺が周りのみんなに「dj hondaとやるんだよ」って言っても、ほとんどのヤツらは「dj honda? あのキャップの?」みたいな感じで。みんな名前は知ってるけど、今何やっているかは誰も知らない。誰もが名前を知ってるだけでもすごいことなのに、今でも現役でビートすげぇみたいな。そのギャップを俺が作品で埋めたかった気持ちこそ、今回のモチベーションのひとつだね。
――今回のアルバムが完成して、新たに次の目標は出てきましたか?
BOSS 今後も変わらず曲を作ってレコーディングして、という繰り返しになると思う。これからもずっと良い曲を作りたいという目標は、何も変わらないからね。
――それはhondaさんがずっとビートを作り続け、いろんなアーティストと並行して制作に打ち込む形と同じような感じ?
BOSS そうだね。俺なりにそこの領域に到達したいね。
dj honda × ill-bosstino
『KINGS CROSS』
THA BLUE HERB RECORDINGS
11月17日発売
Twitter〈@ tbhr_sapporaw〉
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