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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ニッ社辻が見せた映画監督の片鱗
【日刊サイゾー】関西バラエティ番組事件簿

『ミルクボーイ内海と5人のクセ監督』ニッ社・辻のとんでもない映画の才能が開花!?

ダブルアート・タグは創作意欲溢れる短編を制作

 ダブルアート・タグ監督の『京都めぐり ハンドツアー』も強烈だった。おそらくタグ監督は、脳内でいろんなストーリーと出来事が膨らんでいくタイプ。そのすべて映像化するには、莫大な予算がかかってしまう。その点では「監督のイメージをどうやって映像化しようか」とプロデューサー泣かせな作り手ではあると思う。しかし、この『京都めぐり ハンドツアー』はタグ監督が、自分のワガママ(褒め言葉)を「必ず実現させる」という強い意志を感じさせる作品だった。

 巨大な謎の手につままれた内海が、京都中を駆け巡る話。コントなど生の舞台ではできない、映像だからこそ実現可能な遊びをふんだんに使われている。特撮映画初期を連想させる、懐かしい映像感覚も中毒性抜群。タグ監督が演じたミステリアスな老人の存在も、巨大な手との関係性をいろいろと想像させる。番組の「クセ監督」を象徴する、オリジナリティに溢れた1本だった。

エルフ・荒川は自身の観察眼を投影?

 スペシャル審査員の上西監督から高い評価を得た令和喜多みな実・野村尚平監督の『ひとりごと、』は、内海が父親に扮し、娘の話や行動に口を出していく。普段の漫才同様、内海がツッコミ的な役回りとなっている。ただタイトルが示すように、それらの会話が“ひとりごと”になっている部分が泣かせるポイントだ。

 エルフ・荒川監督作『きらきらきらりんぷぷぷぷ』は、内海が社会と遮断して生きる男を演じている。モノローグを軸にしており、物事の良し悪しの判断を描かない今っぽいストーリー。ギャル芸人として人気上昇中の荒川監督の観察眼を投影したような映画だ。

 ミルクボーイの駒場監督作『内海という男~オモテとウラ~』は、内海の相方だからこそ成立できるドキュメンタリー。京都の旅ロケをする内海の映像を観た駒場が、後付けでナレーション的にツッコミを入れていくスタイル。映像を使った漫才といったところか。

 5作品ともにそれぞれ見どころがあった『ミルクボーイ内海と5人のクセ監督』。今回は第1回ということで、2回目以降も楽しみだ。そしてぜひ、同番組の派生企画として辻監督の商業映画を実現させてほしい。

田辺ユウキ(関西在住ライター)

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。映画、アイドル、テレビ、お笑いなど地上から地下まで幅広く考察。

Twitter:@tanabe_yuuki

田辺ユウキのプロフィール

たなべゆうき

最終更新:2023/02/28 06:27
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