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おぎやはぎの“隠れ長寿番組”がきっかけ? 今、テレビ業界で「昭和の車」が静かなブームになる理由

おぎやはぎの隠れ長寿番組がきっかけ? 今、テレビ業界で「昭和の車」が静かなブームになる理由の画像1
『おぎやはぎの愛車遍歴 NO CAR, NO LIFE!』(BS日テレ)

 都会に住む若者を中心に“車離れ”が叫ばれて久しいが、テレビ界では今、「車」がちょっとしたブームとなっている。といっても、取り上げられているのは最新の車ではなく、30年も40年の前の車。「昭和の車」がにわかに脚光を浴びているのだ。

「きっかけのひとつは、おぎやはぎが司会を務める『おぎやはぎの愛車遍歴 NO CAR, NO LIFE!』(BS日テレ)でしょう。この番組は、車好きの芸能人をゲストに迎え、これまで乗ってきた車をエピソードを交えて紹介してもらうもの。もう10年も続いている、知る人ぞ知る人気番組です。

 BS朝日には『昭和のクルマといつまでも』という番組があります。これは昭和時代に生産された車に乗り続けている人を探す番組。2019年放送の特番が大きな話題となり、数回の特番を経てレギュラーになりました。この他、柳沢慎吾、山口智充、クレージーケンバンドの横山剣など、車好き芸能人による『昭和の車』がテーマの特番が今年に入って相次いで放送されており、旧車は静かなブームになっています。つい先日も、ヒロミとフワちゃんが旧車を購入し、“オークションに出したらいくら売れるか?”という番組が放送されていました」(テレビ情報誌記者)

 昔使っていた物、子どもの頃に目にした物には、誰しも懐かしさを覚えるもの。昭和の車ブームはますます加速しそうな気配だという。

「テレビが昔の物や話題を取り上げる最大の理由は、視聴者の年齢層がどんどん上がっているからですが、今の30~40代は、車業界がまだイケイケドンドンだった時代の名車を見て育った世代。車のデザインがどんどん没個性化していく中で、子どもの頃に眺めた70~80年代の車のデザインは新鮮に映るようで、旧車を取り上げた番組はどれも好評です。

 スポンサー的な事情もあります。近年、テレビの影響力が落ちたとはいえ、マスに訴えるのに効果的なのはやはりテレビ。自動車メーカーは今でもテレビ業界の大スポンサーですが、古い車を通じて車の魅力を伝えられれば、視聴者だけでなくスポンサーも喜んでくれるので、制作側としてはまさに一石二鳥です」(広告関係者)

 一方では、こんな事情もある。

「普段はトーク番組やバラエティ番組にはまったく出ない大物でも、『車のことなら話は別』という人は多い。今、還暦を超えた世代は、車が何よりのステータスだった時代に育ち、もれなく車好きですから、ブッキングがしやすいんです。『おぎやはぎの愛車遍歴』には、亡くなられた千葉真一さん、津川雅彦さんのほか、里見浩太朗、岩城滉一、五木ひろし、藤竜也といったビッグネームがゲストで出演しており、自分から『出たい』と申し出た大物が何人もいます。

 いつもは難しい顔をしているのに、車の話になると表情が変わり、いきなり饒舌になる画はテレビ的にいかにも面白く、かつて乗っていた1970年代、80年代の車と再会すると、子供のようにはしゃいでしまう姿は何とも微笑ましいもの。言い方は悪いですが、昭和の車は“良いエサ”ですね」(バラエティ番組制作関係者)

 レジャー業界では、西武園ゆうえんち(埼玉県)が、「昭和レトロ」をコンセプトにして再ブレイクしたのは記憶に新しいところ。アフターコロナのヒットの鍵は、「昭和」かも?

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2021/11/24 07:00
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