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世界は映画を見ていれば大体わかる#24

織田裕二が残される妻のために勝手に再婚相手探しに暴走!終活を考えるVOD3作品

織田裕二が残される妻のために勝手に再婚相手探しに暴走!終活を考えるVOD3作品の画像1
U-NEXT『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』公式サイトより

 余命僅かと言われたらあなたはどうする?

 医者から余命6年と申告された英国人男性が「死ぬまでにやりたいことリスト」を作成。これまでスピード違反のネズミ捕りに何度も引っかかっていたことから

「一度は尻を見せて侮辱してやりたい」

と考え、実行。

 無事映像を見た警察に逮捕されたというニュース。これまで真面目に生きてきたから自由にふるまいたいんだ、という彼は死ぬこと以上に怖いものがないようで、またやってやるぜ!と意気込んでいる様子。人間どんな時でもユーモアを忘れずに生きていたいもの。今回はそんな終活がテーマの映画です。

 1997年のドイツ映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』は見るからに善良で生真面目そうな男と、病室で平気でタバコをふかすようなワルの二人が癌で余命僅かと診断される。

 生真面目男は海を見たことがないといい「天国では海の話題で持ちきりさ。海を見たことがないお前は話についていけない」とワルに吹き込まれたことで、友達もいなさそうな彼、天国でもぼっちになるのは嫌だと死ぬ前に2人で海を観に行くことに。駐車場のベンツをかっぱらって人生最後のドライブに出かける。だがその車はあるギャングの持ち物だった。そうとは知らない2人はのんきにガソリンスタンドや銀行を襲撃、監視カメラに犯行を堂々アピールしたことでギャングと警察双方から追われるハメに。

 ギャング、強盗というとハードなアクション、サスペンスを想像するところ、本作はオフビートのコメディなので、笑いのツボを微妙に外しまくるのがポイント。銀行強盗の場面でピストルを突きつけ、行員に両手を挙げさせた状態で無言が続くと「黙ってたら先に進まないわよ?」と突っ込まれる。緊迫感の欠片もない!

 細部が色々といい加減で、突っ込みどころが満載の作品なのだが、コメディだから細かいところに拘らなくていいのだけど、本作は09年に日本でリメイクされていますが、これがコメディだということをまるで理解していないスタッフによってオッサン同士のロードムービーが変なふうに改訂。オッサンと少女のラブロマンス(!)に。

 そもそもオリジナルの舞台はドイツで、北部にしか海がない地理だからこそ「海を見たことがない」という設定が際立つのに、周囲を海に囲まれた島国の日本でその設定、ダメでしょ!(だからヒロインが病院に長期入院しているとかいう、不要な設定を付け加えている)笑いよりも感動のほうが格上だと言わんばかりの、邦画の致命的な欠点がすべてを台無しにしてしまいました。

ハリウッドの大名作が日本で大迷作に…(泣)

織田裕二が残される妻のために勝手に再婚相手探しに暴走!終活を考えるVOD3作品の画像2
U-NEXT『最高の人生の見つけ方』公式サイトより

 ロマンティック・コメディの巨匠、ロブ・ライナー監督が手掛けた『最高の人生の見つけ方』(07)は終活モノ作品のひな型のような一本。金儲けのためだけに邁進してきた巨大財閥の総帥ジャック・ニコルソンと、自分のやりたいことはすべて犠牲にして家族のために尽くしてきた自動車整備工モーガン・フリーマンが、余命僅かと診断される。

 決して交わらなかったであろう人生を歩んできた2人が病気によって結びつき、一人きりの人生では果たせなかった夢を叶えてゆく。

 ひねくれものの筆者でも突っ込みどころが見つからない感動のドラマで、特に2人が死ぬまでにやりたいことリストをつくって、そのうちのひとつ「世界一の美女とキスをする」という項目を処理するところ、本編見た時、やられた! と思いましたよ。

 そしてこの映画もよせばいいのに日本で19年にリメイクされ、爺さん2人が婆さん2人(吉永小百合はともかく、もう1人は天海祐希だから婆さんではないけども)に変更された上に、自分たちではなく、小さい頃から入院生活をしている12歳の少女のために婆さん2人(くどいようだが、1人は婆さんではない)が代わりに「死ぬまでにやりたいことリスト」を消化していく、という話にされていて、自分が叶えたいわけでもない夢を、婆さん2人(以下略)に叶えられてもねえ……どうしてこうなった。

 リストのひとつが「ももクロのライブに行く」で、吉永と天海がなぜかステージに上げられてしまう。いくらももクロがサービス精神旺盛でも、そこまではやらないと思う。『ノッキン~』といいこれといい、ハリウッドの邦画リメイクはどうして改悪ばかりしてしまうのか?

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