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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 瀬戸内寂聴さん訃報記事に見る新聞社の裏事情

瀬戸内寂聴さん訃報記事、朝日と東京新聞が大きく紙面を割いたウラ事情

瀬戸内寂聴さん訃報記事、朝日と東京新聞が大きく紙面を割いたウラ事情の画像1
瀬戸内寂聴さんInstagram(@jakucho_setouchi)より

 瀬戸内寂聴さんが、11月9日に99才で亡くなっていたことが、11日に分かった。人気作家として数々の作品を残す一方、僧侶として法話を続け、社会問題についても積極的に発言していた寂聴さん。その訃報は広く伝えられたが、とりわけ大きなスペースを割いたのが新聞だ。

「新聞各社はどこもインターネットの普及で部数がどんどん落ちており、自宅に新聞を取っているのはもはや少数派。ある大手紙の幹部などは『ウチの読者は80代以上』と自虐を言うほどで、紙の新聞の読者の年齢層はどんどん高くなっています。新聞離れが着々と進む中、高齢者の関心が高いのはやはり訃報記事。これをガッツリと伝えるのは読者のニーズに応えるという意味で、当然でしょう。

 寂聴さんの場合、作家として連載やコラムなどを各紙に書いてきた過去がありますし、社会問題について意見を求める機会も多く、新聞社とは関係が深かった。情報が多い分、記事のスペースも大きくなったということでしょう」(新聞関係者)

 ただし、新聞社によって記事の取り扱いに濃淡があったのも事実。紙面を眺めると、同じ訃報記事でも色合いは異なっていた。

「寂聴さんの訃報はどの大手紙も大きく扱いましたが、とりわけ朝日新聞と東京新聞は盛大でしたね。朝日は、木曜の夕刊の一面トップに速報記事を載せ、金曜朝刊の社会面はほぼすべて寂聴さんの記事。さらに、金曜の夕刊も一面トップは寂聴さんの記事でした。また、東京新聞も12日の朝刊は寂聴さん絡みの記事だらけでした。

 東京新聞については、護憲、反原発、死刑制度反対など、主義主張が多くの点で寂聴さんと一致していたので、ここぞとばかりに取り上げたという印象です。一方、朝日については実はウラ話があって、当日は別の大ネタがあり、それを大々的に取り上げる予定だったものの、裏を取り切れなくて記事が飛んだため、紙面がゴッソリ空いてしまった。それで本来は使うはずのなかった寂聴さんの評伝や語録、知人のコメントなども使われ、寂聴さんの扱いが異常なほど大きくなったようです」(フリージャーナリスト)

 同じニュースであっても、タイミングによって扱いが大きくなったり小さくなったりするのは、スペースが限られた新聞では当たり前のこと。ちなみに、著名人の死亡記事に関してはこんな“常識”もある。

「一定の年齢に達した著名人については、事前に死亡記事の予定稿が準備されています。用意されるのは政財界の要人、文化・スポーツ・芸能界の超大物のみですが、客観的かつ正確に書く必要があり、担当者はある程度経験を積んだ記者のみ。場合によっては10年も20年も寝かされるパターンもあり、常に“バージョンアップ”が行われ、日の目を見る日を待っています」(元・大手紙記者)

 あまりにも手際が良いと遺族に怒られそうだが、それもまた、大物の証拠なのかもしれない。

藤井利男(ライター)

1973年生まれ、東京都出身。大学卒業後に週刊誌編集、ネットニュース編集に携わった後、独立。フリーランスのジャーナリストとして、殺人、未解決事件、死刑囚、刑務所、少年院、自殺、貧困、差別、依存症といったテーマに取り組み続けてきた。趣味はダークツーリズム。

ふじいとしお

最終更新:2021/11/17 19:00
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